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Le Red Tiger(ベトナム・パブ)
生ビールが数種類あるところが嬉しい。
(2017/8/15)
レストラン
エビの甘辛煮。たっぷりの生野菜と一緒に食べたい濃いめの味。
ビーフのフォー。普通のビースフープとは一味違う。
道路からの続きで入っていけるこの雰囲気がLe Red TIgerならでは。
店の本当の入り口。冬はこちらから。
瓶の青島ビールもある。
生ビールが数種類あるところが嬉しい。暑い国のビールはさらっとしている。
野生的な揚げ豆腐の生春巻き。食欲がないと思ってこれを頼むと、意外に食欲が出てしまう。
豚肉の春巻き。食感も味も本物。
揚げワンタン6個。さっくり熱々で優秀なビールのお供。
青いパパイヤのサラダ。現地っぽいこういう出し方が楽しい。
開店とともに入れば、カウンター、長テーブル、奥の小分けのテーブルと好きな場所を選べる。
ビーフのグリル・レモングラス味。
 ひっくり返したプラスチック製のビールケースに腰掛け、前のめりになって飲み食いする人々の横を、二人乗りのバイクが次々通り過ぎていく。ベトナムの夜の楽しみ方のひとつに、こんなところで食べるストリートフードがある。それをモントリオールで粋に再現したのがベトナム・パブ「Le Red Tiger」だ。パブと自称している通り、生ビールやバーテンダーが振るうカクテルが目玉の飲み場なのだが、豊富な小皿料理が食べられることでさらに人気になった。お店が立ち並ぶエリアから少し離れた場所にあるLe Red Tigerは、春から秋にかけては、大きなシャッター型の窓が全開になる。カウンター席や長テーブルを囲む人々と、道路をゆく人々とが一つの景色に収まり、店内の色やぼんやりした灯りがうまい具合にベトナムの路地を演出している。それがパブであれ食堂であれ、とにかく入りたくなる店だ。

 今日の最高気温は24度、湿気は少なく日差しも柔らかい。こんな日の午後は、そのまま家に帰るのはもったいない。すぐに一杯飲みに行ってしまう癖のあるディエゴと、外食好きのステファニーと集合することに決まった。仕事が終わった者から店に向かい、席を取っておく作戦のもと、開店45分後の18時前に到着した私がギリギリ席を確保することができた。18時以降は予約をしないで来ると、3、4人用の席を確保するのは難しくなる。5種類ある生ビールからまずは店の名を持つビール、レッドタイガーを楽しむ。順々にやって来た二人と2杯目のビールと小皿をいくつか頼むことにした。

レッドタイガービール $6
青島ビール(瓶) $6x3本
青いパパイヤのサラダ $9x2皿
ビーフの串焼きレモングラスソース(3本) $12
揚げワンタン(6個) $11
揚げ春巻き(2本) $6x2皿
ベトナムのハムやサラミをもち米に合わせたもの $12

 暑い土地で作られるビールらしい軽い口当たりのビールは、夕方の風とも傾いた西日とも合う。現地スタイルそのままに、ビニール袋に入った状態で出てくる青いパパイヤのサラダで、まずみんな小ベトナム気分になれる。袋を自分で皿に開けて、唐辛子やソースの偏りをほぐし混ぜていると、さらにベトナム気分は高まる。揚げたてのワンタンは、揚げ餃子とも揚げシュウマイとも違い、しつこくない。揚げ春巻きはキュッとしまった細身で、味も食感も文句なし。もち米とベトナムの加工肉の小皿は、3種類の加工肉にウズラのゆで卵、野菜の酢漬けなどを合わせ、ソースをかけもち米とさっくり混ぜてから食べる。ストリートフードならではの味わい、かつ締めのご飯にも使える。

 三人とも、ほどほどお腹は満足していたが、気候と店の雰囲気のせいか妙に気分が盛り上がり、さらに開拓しようということになった。

揚げ豆腐の生春巻き $6
ビーフのフォー $12
エビの甘辛ご飯 $14

 がっちり型の生春巻きは、野菜がたっぷり詰まってたくましく、ディップするピーナッツソースの量を自分で調節しながら、いろんな味や食べ方ができる。麺もお米もスープも肉も敬遠したくなる夏日にはぴったりの清涼感。おなじみのフォーは、一般的なビーフのフォーとはスープが一味違い、より複雑で本場に近いのではないかという印象。エビの煮物は、好みが分かれた。濃い味やこってりしたものが好きな人には良さそうだ。ただ、エビは丸ごと調理されてそのまま出て来るので、エビの殻、頭や尻尾を食べない日本人にはやや面倒かもしれない。

 今夜は会話に方向性も生まれず、ただただまた明日も頑張ろう!というところに三人は着地し、それぞれいい気分で家路に着いた。

Le Red Tiger(ベトナム・パブ)
1201 Boul de Maisonneuve E
最寄り駅:Berri-UQAM, Baudry


取材・文:稲吉京子