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Ô deux soeurs(サンドイッチ・カフェ)
マグロのたたきの丼は、見た目にも美しく幸先がよさそうだ。
(2020/1/15)
レストラン
ポタージュスープ。見た目は地味だけれど、手間がかかっているだろうなと思わせるデリケートな滋味深いスープ。
ジンジャー&ターメリックスープ。このスープだけで2、3日過ごせば結構デトックスできそうな感じのスープ。
Menu du jourのマグロのたたきBol$19。見た目でまず新年のやる気倍増。清潔な美味しさで、冬の煩わしさも気にならなくなる。
Menu du jourには含まれないが、デザートを食べたくてキャロットケーキを頼む。キレイ。
自家製のベジバーガー$12。プレート全体は無骨感があるが、バンズも中身のバーガーもふんわりサクサクで軽くて美味しい。
Rosemont駅から3分程度。新しいコンドの1階部分に入っている。冷たい感じの建物だが、中は爽やかで、お客さんたちはほんわかしている。
このメーカーのハーブティーを揃えていることを知り、急遽コーヒーではなくティーに切り替え。ここには置いてなかったが、’everyday detox’というハーブティーがおすすめ。
昼時は、仕事仲間のグループ、家族、親子などでいっぱいになり活気がある。
店内はガラス面が広く、居心地の良い雰囲気。
 2020年が明けて、早速ガールズランチのお誘い。前回彼女とBeaubienのcafé les oubliettesでランチした際、私のクレジットカードがなぜか通らず、彼女に払わせる形になってしまった。今回は私が店を選んでごちそうする番だ。ガールズにはまず嫌われないタイプのレストランが集中しているRosemontやBeaubienエリアから選択する。季節柄、駅から小走りで3分以内だと嬉しい。ランチの前後に立ち寄る場所も近くにあったりすると尚いい。

 Ô deux soeursのフードトラックで食べて以来、その本家のレストランには行ってみたいとは思っていた。そのÔ deux soeursで待ち合わせすることにした。Rosemont駅から歩いて3、4分の位置にあり、その途中に図書館もある。冬の図書館は本を借りても借りなくても好きだ。タイトルと裏表紙の書評コピーだけを頼りに、あてずっぽうに本を手に取っていると、必ず意外な面白さに出会える。最近見た夢の意味が解けたり、以前カフェで隣り合わせに座った人が作家だったとわかったり、サーモスに入れてきたホットチョコレートを、書棚にもたれてこっそり飲んだり。

 さて、deux soeurs (2姉妹)のうちのひとりであろう年配の女性が、Menu du jour(今日のランチ)を口頭で教えてくれる。Menu du jourには、スープかデザート、そして食後のコーヒーかハーブティーがついてくる。Bol(丼)、ストリートフード、バーガー、サンドイッチ、卵料理、プティンなどの各ジャンルの定番メニューからひとつずつその日のMenu du jourが選ばれる。例えば、Bol(丼)の定番メニューにはこの時期以下のものがある。

ベジタリアンBol
ヤギのホットチーズBol
コリアンBol
たたきBol
自家製マリネサーモンBol
オマール海老Bol
デラックスBol

 その中から、今日のMenu du jourに選ばれたのは「マグロのたたきBol」だ。私は、その「マグロのたたきBol$19」をジンジャー&ターメリックのスープとハーブティのセットで頼み、彼女はバーガーのMenu du jour「自家製手ごねベジバーガー$12」をポタージュスープとコーヒーのセットで頼んだ。マグロのたたきBolとベジバーガーは二人でシェアするつもり。

 まず熱いスープが運ばれてくる。最寄り駅からそそくさ歩きで3分弱とはいえ、外気で身体は冷えている。暖かい穏やかなスープが喉に流れ込んで、身体がほぐれてくる。自然な優しい味と舌ざわり。特に私の頼んだジンジャー&ターメリックの解毒度が高そうなスープは、年末年始に盛ったあれやこれやを思い出すと、今日はこれしかない気がする。

 じんわり胃が温まったところで、運ばれていたマグロのたたきの丼は、見た目にも美しく幸先がよさそうだ。繊細に刻まれた野菜とセサミペーストがたたきとまろやかに絡まって、底にふんわり敷かれたかなり少量の玄米の風味とも合う。量もSmall is BigとかSmall is Beautifulが文字通り当てはまる。

 ベジバーガーは、さっくりふわふわのこんもりバンズに、有機野菜を中心に手ごねされ焼かれたハンバーグが、これまたスーパーファインに刻まれた生野菜と一緒に挟み込まれている。すべてが繊細な質感なので、今日はかぶりつかずにフォークとナイフで食べてみる。あらゆる層が軽くてふんわりしていて、すっきり清潔な味わい。付け合わせのプチサラダやポテトも美味しい。

 食後に、私はメリッサのハーブティーを頼み、友人はアロンジェを頼む。少し甘いもので締めたいよね、となりキャロットケーキ$5.25を単品で頼んでみた。色合いも面白いし、穏やかな甘さと、手作りの素朴感と安心感で美味しさは何倍にも感じられる。オーダーが入ってから一皿ごと準備されるので、食べ物が出てくるまでは結構のんびりだ。新年の抱負、今年の達成リストなどおしゃべりすることがいっぱいあるこの時期にお勧めしたい。

Ô deux soeurs(サンドイッチ・カフェ)
780 Boulevard Rosemont
最寄り駅:Rosemont


取材・文:稲吉京子