日本の友達と冬はやっぱり鍋だよねーと話していると、フランス人の友達がフランスではラクレットだなーと話に入ってきた。ラクレットとはチーズの銘柄でもあり、料理の名前でもあるそうだ。ラクレットチーズを温めてとろとろにさせて、茹でたり又は蒸かしたジャガイモにのせて熱々をいただくという、聞いただけでも冬にぴったりな料理だ。山にスキーに行くと食べる定番の料理の一つだそうで、味もさることながら寒い環境の中でスポーツをする人達に必要な高カロリーが手早く取れるという好都合料理でもある。

 ラクレットチーズはコクがあり、かつやさしい味であわせる食材を選ばない。前菜としてラクレットを食べるときはジャガイモと一緒に、又メインディッシュとして食べるときは、どっしりとした厚切りのハムやステーキなどと一緒に食べるなど食べ方がいろいろある。チーズフォンデュよりもお手軽ということもあり、家庭料理として人気だそうで、電気屋の家電コーナーにはラクレット専用プレートというものが置いてあり、大体5〜6人用のセットで、手のひらサイズのキットで各自がラクレットチーズを一切れずつテーブルの上でいっぺんに温められるという優れものだ。

 プレートを使わない本格的なラクレットの食べ方は、小粒のジャガイモを皮ごと茹でハムや乾燥肉などを切り分け、チーズの大きな塊をオーブンの火であぶって、とろけたところを取り分けてジャガイモ等と一緒に食べる。友達曰く、昔からこの食べ方はありチーズの名前は(Racler=削る)から来ているのだとか。

子牛のステーキ
お皿の底が見えないほどのチーズ
店の正面には広々としたカウンターがある
 モントリオールにもラクレットを出す店があるはずと探したら‘La Raclette’というのを見つけた。店の名前からして専門店ぽい。要予約と言われ早速予約を入れた。店に着くと満席状態で、こんなにもラクレット好きがいたのかと驚くほどだ。メニューは前菜から小皿に盛られたジャガ芋とラクレット$8.50、ピーマンとラクレット$8.75等があったが、私達はメインで思いっきり食べようとハム、乾燥牛肉添えラクレット$18.45を頼むことにした。殆どのメニューはプラス$1で前菜にポタージュスープか野菜ジュース、食後にコーヒー又は紅茶が付いてくるセットにできる。

 私は前菜にポタージュスープを頼んだ。かりかりしたクルトンとしっかりした味のスープが食欲をそそる。メインのラクレットは、ピクルスが入った大きな瓶と共にやってきた。驚いたことに、とろけたラクレットチーズが皿一杯に覆われていて、その上にジャガ芋、生ハム、乾燥牛肉がのっている。皿は熱くなってはいるが長くは持たない。みんなチーズが熱くて柔らかいうちに、と会話も少なく大急ぎで食べた。想像したのと違いちょっとがっかりしたが、味自体はとても良かった。チーズは表面に程良く焦げ目がついていて香りが良い。添えてある生ハムや乾燥肉ともよく合う。ピクルスはスーパーで買うのと違い断然新鮮で、酢が利いていてしゃきしゃきしている。チーズでまったりした口の中をピクルスで口直しして、またチーズに戻る。これは日本でいうとカレーとらっきょうのようになくてはならない関係のようだ。

 もちろんラクレット以外にもメニューがあり、ティラピアとエビのシーフードソース$23.95、厚切りの子牛肉のステーキ$19.95,チーズフォンディュ(2人から)$21.95(1人分)等。デザートは洋なしのオーブン焼き$5.95,マロンアイス$5,95等がある。

 ラクレットを食べたのはこの店だけだが、ケベックではこういう食べ方が一般的なのだろうか? だとすると、ケベックの人達はヨーロッパの人より食事をする時間が短いのか?場所が変われば食べ方も随分変わるものだと感心した。

La Raclette(スイス料理)
1059 Gilford
(514) 524-8118
Laurier
Mont-Royal
年中無休:17:3022:00(要予約)
取材・文:坂井 桂子
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