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Laurier駅周辺に車を止めて歩くこと4分。Mazbiの入口に置いてある黒板には、「モントリオールで唯一のイエメン料理の店」と書いてある。店に入るとすぐ右手にサロン風のソファー席があり、今日は大家族が陣取っている。奥に進むと清潔で家庭的なテーブル席が広がる。家族で切り盛りしているレストランなのか、フロアの男性も女性も気配りがある。メニューはシンプルで、イエメンの代表的な家庭料理数種類をベースに、ビーガン、チキン、ビーフ、ラムバージョンがあるといった感じだ。頼んだのは以下の通り。 Cheese Sambosa 2個 $3.50 Magalgal Beef $13.99:牛肉と玉ねぎのソテーとライス Edam Chicken $13.99:チキンのシチューとライス Fowl $10.99:そら豆、玉ねぎ、トマト、オリーブオイルの煮物+パンkhobz Khobz $1.99:伝統的な平べったいパン まずサービスのスープが出てきた。大麦とチキンのスープで、ラマダンの時に登場するんですよ、とサーバーの男性が教えてくれた。オレンジ色のとろっとした質感のなめらかなスープに、大麦のプチプチ感がいい。 Sambosaは、インドのサモサを二回り小さくして品よくした様子で、中にびっしり詰まったフレッシュチーズも上品な味だ。Sambosaがサモサと名前も形態も似ているのは、インドのムガール帝国の影響を受けた時代があるせいかもしれない。そういえば、壁のスクリーンで見られるイエメンのビデオクリップにも、どこかボリウッド的な要素が・・・。 Magalgal Beefは、鉄なべの中でジュウジュウと煙や汁を飛ばしながら出てきた。初めて口にするような、でも懐かしいような味がするのは、イエメン料理に使われるHawaij(ハワイージュ)というスパイスのせいかもしれない。カルダモン、ターメリック、フェンネル、アニスシードなどを基本としたミックスだ。料理の見た目は荒々しいが、味は家庭的で優しい。付け合わせで一緒に出てくるさっぱり+ぴりっとしたチリソースと、キュウリの入った爽やかなヨーグルトソースが両極端のアクセントを与えてくれる。 Edam Chickenは、「これこれ、これが食べたかった!」という料理だった。急に寒くなるこの時期、急に体がどっしり、ねっとり、ホクホクのものを欲しがる。鉄なべの中で、チキンと野菜が一緒くたになってぐつぐつしている。テクスチャーも良いし、味もまろやかにまとまって、具材によく浸み込んでいる。食べ慣れないものが苦手な人でも、これは美味しくたべられそうだ。いっそのこと、チキンのEdamではなく、野菜のEdamなら好みのど真ん中だったかもしれない。 最後に出てきたのはFowl。これも鉄なべに入ってあつあつの状態ででてくる。本当は一番最初に食べたかった豆の煮物のような料理で、ホムスのフレッシュ版と言うと一番イメージしやすいかもしれない。これを、イエメンのクレープ状のパンkhobzですくって食べる。リッチでクリーミーなアツアツの豆ペーストが、地味なのにとても美味しい。身に染みる。お代わりのパンを頼んだ。 今回は頼まなかったが、イエメンの伝統料理のMandiを勧められた。Mandiとはアラビア語で"dew"という意味で、「dewy」なしっとりした肉や肉汁になるまで煮込んだ伝統的な料理というところか。結婚式やパーティーのメインとしても登場するという。 テーマだった「いつもと一味違う食事」は、大成功に終わった。季節、料理、ニーズがぴったりきたからだろう。今回行きそびれたチュニジア料理は、近々に報告予定。 Mazbi(イエメン料理) 4669 Saint-Denis
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取材・文:稲吉京子 | ||||||||||||||||||||||
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