|
Ma Poule Mouillee。フォンテーヌ公園からほどないrachel通りにあるポルトガル・チキン専門店。モントリオールでは不思議と、ポルトガル・チキンの需要も供給も高い。どのエリアに行ってもたいて1店舗は見かける。グリルしたチキンをピリ辛ソースで食べるというのが通常のスタイルだ。店に入るとすぐに、列になった丸ごとチキンをグルグル回転させながら直火で焼いているのが見える。常に焼きたてジューシーなチキンが食べられるため、店は昼夜問わず人でいっぱいだ。評判がすこぶるいい。半信半疑のまま頼んでみたのは… ハーフチキンとサラダ+フレンチフライ $12 イカのグリルとサラダ+フレンチフライ $15 エクレア $2.50 フラン $3 ナタール $1.70 チキンの店でイカを頼むのもどうかと思う。ただ、色々あるわけではないメニューの中で、イカのメニューを用意しているところに、作り手のパーソナリティを感じた。食べれば納得の理由があるのかも。待ち時間ゼロのチキンと違い、10分ぐらい時間がかかるけれどいいか?と聞かれ、ますます頼む気持ちが固まる。イカの皿が出来上がるタイミングで、チキンの半身も出してくれるというので、混み混みの店内の隅に、2席だけの窓際のカウンターを見つけ、そこで大人しく待った。 出てきたのは評判通りのボリューム。山盛りのフライドポテトの清潔な色が嬉しい。チキンは、炭火焼風の表面の香ばしさと、よく染み込んだソースの味がいい。ポルトガルチキンといえば、辛いソースというイメージがあるけれど、ソースに辛さは感じなかった。サラダとナチュラルなポテトとの組み合わせに好印象を覚えた。この類の料理には、ケベックで暮らしているんだという気持ちにしみじみなる。 そして、ポルトガルチキンの店のイカ。ポジショニングが難しいのだが、端的に言うと、座布団に値するメニューだと思う。グリルされた小ぶりのイカ4杯(も!)はブリブリの食感で、日本人にはお馴染みの魚介類を炭火で炙った時のあの香ばしい味が味わえる。「生姜と醤油で」とはいかないけれど、玉ねぎ中心のセビーチェっぽいソースを合わせている。ザクザクしたサラダは食欲を刺激するし、ポテトは茶色くべっとりではなく、白くさっくり揚がっていて、味付けも塩胡椒とシンプルだ。コスパ賞をあげたい。 さて、デザート。ポルトガルチキンときたら、nata(エッグタルト)を無視するわけにはいかない。デザートのセクションには、レトロな見た目のケーキがたくさん並んでいる。戦後日本のケーキと言ったら言い過ぎかなぁ。nata以外には、被害が少なそうなエクレアとフラン(焼きプリン)を試してみることにした。エクレアとフランは予想通りシェアできないコメント。nataは合格ライン。サイズ感もいいし値段も手頃なので、ご近所さんへのお土産に12個買うことにした。 ひとつ気持ちがいいなと思ったのは、注文のシステムとサービス。まず、入口付近のもくもくチキンを横目に、カウンター越しに、キッチンスタッフに直接注文をする。長いカウンター沿いに奥に進み支払いをすませ、好きな場所に席を取っている間に、注文したものがピックアップできるようになっている。注文を取ってくれる人も、会計の人も対応がさっぱりで清々しい。ティップが発生しない流れの中で、自然と起こるコミュニケーションは健全で後味がいい。 モントリオールのポルトガルチキンは、ソウルフードになりつつある。ケベック発祥の食べ物ではないけれど、網に挟まれたホールチキンが回転して焼かれる様子は、すっかりこの街の景色になっている。色とりどりのバックグラウンドを持つ20、30、40代のケベックの人々は、みんなこの食べ物、食べ方が好きだ。愛すべきケベック。愛すべきコションネリ。 Ma Poule Mouillée(ポルトガル・チキン専門店) 969 Rachel Street East
| ||||||||||||||||||||||||
取材・文:稲吉京子 | ||||||||||||||||||||||||
過去のレストラン | ||||||||||||||||||||||||
当ホームページ内の画像・文章等の無断使用、無断転載を禁じます。すべての著作権はFROM MONTREAL.COMに帰属します。情報の提供、ご意見、お問い合わせは「左メニューのCONTACT」よりお願いします。 Copyright (c) 1996-2018 FROM-MONTREAL.COM All Rights Reserved |