住宅地の中にひっそりとあるが、客足は絶えない。
下準備ができた綺麗な肉類やトラウトが並ぶ。
今日のお惣菜、ソース類、サラダ、デザートが並ぶ。ベジタリアン料理も必ずある。
まだ容器に入れられていないものを指差してこれを食べてくわ!と言える醍醐味。ポルトガルのローストチキンとボテト、野菜のグリルを盛り合わせてもらう。$12.50
ベーコンとポテトのピザ。
ベーシックなトマトとバジルのピザ。土曜は必ず登場する各種のピザは要チェック。
朝7時開店からランチ時間までにほとんどが売れ切れてしまうサンドイッチ。自家製の冷製肉が人気。
リンゴとビーツのサラダと合わせて。
梨とチョコレートのケーキ。デザートも毎日変わるので、なかなか同じものには出会えない。
手作り感がある見た目で気分も上がる。マスカルポーネのクリームがマンゴとイチゴのジャムとよく合う。1切れ4ドル。
 フレデリックはモントリオールの「いいもの」を知っている。彼がふるまうものにはまず外れがない。覚えているものでは、農業フェアで手に入れたというブルーベリーのデザート酒、角のない味に仕上がった灰かぶりのシェーブルとPain dans les voilesのバゲットの組み合わせ。ある晩、お土産に持ってきた黒オリーブのペーストが誠にいい味だった。早速手に入れた先を聞いてみた。La Cenaというデリカテッセンだという。さて、今日はその「お惣菜屋さんでご飯する」のススメ。

 La Cena Épicerie-TraiteurはメトロのJarry駅を出て、St-Denis通りを北に1ブロック歩き、住宅街に折れてすぐの所にある。Épicerie-Traiteurと店の名前にある通り、下ごしらえが済みオーブンに入れるだけの状態の肉類や自家製の冷製肉、蓋を開ければすぐに食べられる状態の料理を買うことができるお店だ。旬の食材でその日に作られた料理が1人分〜数人分のパックに綺麗に詰められて並んでいる。その中から、その場で食べていきたいものを選んで温めてもらってもいいのだが、私は夕方のお客さん向けにできあがった料理を狙う。その日はキノコ類のピザや、ポルトガルのローストチキンがポテトと一緒に焼きあがっていた。レジ横についでのように置かれたズッキーニとパプリカのグリルのお惣菜と盛り合わせてもらって、ローストチキンの腿を食べることにした。(Plat Jour $12.50)

 焼き方、マリネの液のレシピ云々以前に、肉自体の質がとてもいい。通常ポルトガルのローストチキンは辛さが気になるし、有名チェーン店のローストチキンの脂分や臭みが震えがくるほど苦手な私だが、ここのローストチキンは全く別物だった。臭みも脂肪分も感じさせず、よくなじんだ程よい辛さで美味しい。ローストポテトや野菜のグリルと合わせて食べると、食感といい風味といいこれ以上は望めない気持ちになる。チキンは有機の認定は取っていないが、放し飼いで抗生物質を使わない飼育をする農場から取り寄せているという。ここで使用される他の食材に関しても、できる限り安全なもの、有機生産されたもの、またそれに準ずるものを仕入れているという。食事が胃にもたれず後味も良いので、可愛らしい色合いのデザートとエスプレッソも頼んだ。店一押しのスペシャリティはティラミスだというが、カウンターに乗っている今日のデザート、イチゴとマンゴのマスカルポーネのケーキをあえて選ぶ。エスプレッソを入れてくれるのを待ちながら、休日のディナーを買っていく人たちの相談に乗るオーナーシェフの説明を聞くのも楽しい。(ケーキ$4、エスプレッソ$1.50)

 ここで買える料理、食べていける料理のメニューは毎日変わる。例えばその日見かけたのは、ズッキーニと七面鳥のグラタン。ベジタリアン向けのペストのクレープ。ポークのカスレ(豆類の煮物・スープ)。ロケット菜のペストとアボカドとキュウリの和え物など。必ず肉料理とベジタリアン料理どちらもが用意されている。日替わりのサンドイッチは、ジューシーな自家製ハムやソーセージからリッチな味のベジタリアンサンドイッチまであり、お昼までにほとんどが売れてしまう。金曜日と週末に必ず作るの定番メニューもある。金曜日:ポルケッタ(時間をかけてローストしたイタリアの豚料理)とピザ。土曜と日曜日:ローストチキン。

毎週農家から配達される野菜も買うことができる。
店のおすすめはティラミス。週末にかけてかなりの人が買っていくという。
華やかな甘さがケベック風。コーヒーだけ買っていく人も
できたてのリエット(豚肉のペースト)を試すことができた。
 店の奥には冷凍のセクションでは、肉料理とベジタリアン料理に分かれて、長期保存用のパスタソースやスープ、煮物などが揃っている。そっくりな男の子を連れたママが、「私もここで子供とご飯済ませちゃおうかしら」と、独りでのんきに食事をしている私に笑いかけてきた。夕食の買い物もできて、子供の食事でキッチンがメッシーにならない日が週に1日でもあると助かるという。

 私たちが食べ物にお金を払うとき、その対象は当然美味しくなくてはならない。美味しさという前提をクリアした上で、プラスαとして何を求めるかで、定期的にお金を落とす場所が決まってくるのだと思う。6歳と4歳の子供を持つフレデリックが求めるプラスαとは、この店が提供する食材の安心感や利便性なのだということが見えてきた。

 さて、私は見た目に温かみのある華やかな甘さのケーキが気に入った。来週末に控えている友人のバースデーパーティーのケーキは、ここで注文する気持ちが固まった。

 私がこの店に見いだすプラスαは何かというと、汎用性の高さ。私は今日ここで、今夜会う大切な人へのお土産を買い、明日の束の間の独身ナイトに備え、自宅近辺では手に入らないちょっといいものを自分のためだけに選んだ後、質の良い食材で丁寧に作られた確実に美味しい料理を食べていく。しかも、レストランより健全な環境で、はるかに廉価で。

La Cena Épicerie-Traiteur(イタリアン惣菜店)
422 Guizot E.
(514) 507-2377
Jarry

取材・文:稲吉京子
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