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肉食文化で育った友人を招待して向かったのは、今年の5月に開店したばかりのSsam。Jean-Talon駅からほど近い便利な明るい場所にある。店内はこざっぱりした内装で、日本人には馴染みやすく居心地が良い。オーナーの韓国女性Jadeの屈託のない自然な包容力も魅力だ。一家に伝わるレシピの味を大切にし、注文が入るごとにオーナーの家族の手によって丁寧に調理される。 店の名前にもなっているSsam(サム)とは、肉類を葉物野菜で包んで食べる韓国料理だ。15年前のソウルで、エゴマの葉で肉類や漬物を包み頬張ったサムが忘れられない。15年ぶりに食べるサムへの期待が高まる。そんな思いで私が頼んだのは… サム $13.99 トルソビビンバ(石焼ビビンバ)$11.99 キムチ $2.99 キマリ $3.99(チャプチェを海苔で巻いたものの唐揚げ) そば茶 $2.99
キムチは、オーナー自らが漬けている。お母さんの作り方をそのまま踏襲し、量産することは度外視している様子。真っ当な材料で丁寧に作られるもの特有の自然な美味しさがある。初めて食べるキマリだが、揚げ具合が絶妙だと思う。海苔と薄い衣で覆われたサクサクのキマリを一口かじると、中からふんわりとしたチャプチェの優しい味が溢れてくる。タレをつけてもつけなくてもいける。 次に、目にも鮮やかなビビンバが熱した石の器で運ばれてくる。プルコギ、ナムル、野菜のマリネなど複数の具が乗ったビビンバに、少しだけコチュジャンを回しかけ、手早く混ぜて石に押し付けるように広げてしばらく待つ。こうすると、熱い石に触れたご飯がカリッとなってさらに美味しくなる。混ざり加減によって、一口ごとに違った味わいが楽しめる。 さらに、待望のサムが続く。包む皮になる野菜はエゴマの葉、白菜、レタスが盛り合わされ、スパイシーポークと一緒に包み込むための大根のマリネ、タイバジル、キュウリやラディッシュといった新鮮な付け合わせが味のアクセントになる。韓国料理を初めて食べる友人は、包んだ野菜+漬物+ジューシーなポークが口の中で奏でる大合唱に、目を大きく見開いて感動を表現した。 韓国焼肉を堪能したい時には、テーブルごとにセットされる鉄板で、肉を焼きながらサムとして食べるセットメニュー($34.99〜 二人用)もある。韓国には日本と同様に鍋料理がたくさんあるが、Ssamではチョンゴル(鍋)のセットメニュー($39.99二人用)が食べられる。金属製のチョンゴル用特性鍋に彩りよく具材が入れられる。和食が恋しい人には、枝豆、たこわさび、天ぷら、たこ焼きなどの日本的なおつまみメニューもある。韓国ラーメンもケベック人のお客さんには人気があるとか。もう少し秋が深まると、スンドゥブチゲや韓国タレを絡めたフライドチキンなどの秋冬メニューが続々追加されるそうだ。本国に注文したマッコリも、もうすぐ到着するという。 イタリアンやフレンチ、バーガー、和食などは、工夫次第で家でかなり美味しく作ることができる。韓国料理となるとそれなりの料理道具の準備や、食材の下ごしらえが求められる。思いつきで作れるのは、チヂミぐらいか。オンマが家庭で作る本物の韓国ご飯が食べたいとき、愛情を持って料理を提供するSsamのようなレストランが身近にあるのは実にありがたい。 Ssam(韓国料理) 756 Rue Belanger est
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取材・文:稲吉京子 | ||||||||||||||||||||||
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