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地ビールとテラスが好きなこの友人と行くとなると、あの新しいbrew pubしかない。マルシェから2ブロック歩いたところにひっそりある、まだあまり知られていない穴場だ。
bière maison(自家製ビール)という手書きの地味なサインに誘われて中に入ると、ハウスビール以外にケベック州内の他の地ビールもかなり揃えている。的を射た会話ができる素敵な女性サーバーは、ハウスビールから苦味が効いたオススメ1種類と、その他の地ビールから違った感じのものを1種類味見をさせてくれた。的確なビールの品揃えと、「分かり合える」サーバーとの短いやり取りで、この店の姿勢や経験の深さが伝わってくる。St-Laurent通りに作られた全ウッドデッキのテラスも清潔感溢れ、そこに座っている人々の感じが自然で良い。すると友人が、「分かり合える」女性サーバーがMasson通りにあるLa Succursale(2014年2月紹介)にいたサーバーだと気づく。そういえば、ビールにもLa Succursaleのビールがあるではないか。聞いてみるとBirraはLa Succursaleの姉妹店的存在だという。ビールのセレクションや店の姿勢が新参者っぽくない事に納得がいく。 Birraでしか飲めないハウスビールからは以下を注文(小グラス$4.50、 パイント$7) ●こっくりした苦味が特徴のBOB (American pale ale 6%) ●黒いビールだが、見た目とは裏腹に驚くほど軽やかでしなやかなBéatrice (black IPA 4%) 他の地ビールからは以下を注文(小グラス$4.75、 パイント$7.25) ●定番メニューにはないコショウとショウガの香りがすがすがしく可愛らしいIPPON (5.5%) ●綺麗なブロンドの見た目通りの繊細で透き通る可憐な味わいのDémagog (IPA 4.5%) ●夏の余韻を楽しめるキリッとした風味のShawi beach (IPA 7%) ●飽きがこないIPAの定番といった安定感のあるAngus (IPA 7%) それぞれのビールの違いがはっきり感じられるバリエーションがありがたく、小グラスでいくつも頼む方法が私にはしっくりくる。食べ物のメニューはごくシンプル。ビールを美味しく飲むための食べ物という大前提に変わりはないが、定番の形にとらわれない自分(店)らしさが込められたものばかり。こちらも色々ビールが試せるように、がっちりした2皿を頼んでみた。 ●フムス、ムハンマラ、オリーブディップと小さなピタパンの盛り合わせ(ムハンマラ:シリア発祥のクルミやオリーブオイルから作る辛いペースト)$8.70 まず、見た目が好きだ。自家製のフムスとムハンマラはとてもバランスのとれたいい味で、これだけで3パイントはいけるほどの質と量。オリーブのディップは塩分がしっかり効いていて、おかわりを持ってきてもらうほどパンがすすんでしまった。シーンを選ばない手軽さで、早くも今後の定番になりそうな予感。 ●サーモンのグラブラックス(スカンジナビア地方の魚のマリネ)$11 しっかりマリネされたグラブラックスというより、ほんのり気づかれない程度に燻したサーモンの薄切りと、ディルを混ぜ込んだ山羊のチーズ、ビーツとリンゴのサラダの盛り合わせだった。これをグラブラックスと呼んでいいのか?という疑問を呈する気にならないほど、ビールと一緒に楽しむ盛り合わせとしては悪くないと思う。バラエティや意外性、ボリュームという面から見ても楽しめる一皿。
●ビールを使った自家製のハムや、メープルシロップ漬けの玉ねぎを入れたグリルドチーズ ●キャベツとフェンネルのポテトサラダ ●ポークと子羊とミントの肉団子のカレーヨーグルトソースがけ ●軽くグリルした山羊のチーズのアプリコットジャム添え 夏の終わり、まだまだ気持ち良くテラスでビールが飲めるこの時期に、穴場が穴場であるうちにどうぞ。 Birra(地ビールバー) 7129 Saint-Laurent (514) 447-3154
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取材・文:稲吉京子 | ||||||||||||||||||||||||||
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