PalmeはSt-Catherine通り沿いにテラスを設置したレストランやバーが続くエリア。
形容が難しいエキゾチックな味のスープ。ジンジャーマリネの味が遠くの方でしているスイートポテトのポタージュ。
スイートポテトのフライ。ねっとり感がいいスイートポテト。
DJON DJONライス。ハイチ北部で獲れる黒いキノコの名前に由来する。
DJON DJONライス。ライスは墨色に炊かれ、豚肉のチャーシューと小エビのフライがのる丼。
いい意味で期待を裏切ったひよこ豆のココナッツカレー。はっきり言って「カレー」ではない。野菜のココナッツミルク炊き。
プランテンと野菜のドーナツ(パン?)。野菜の揚げパンみたいなのが意外に繊細な味。
 カリビアン美人のカティアと夏恒例の花火大会に向かう。虹色のボールの波が空中に泳ぐSt-Catherine通りを、いつもの花火スポットに向かいPapineau方向にそぞろ歩く。あるレストランの前で「このレストラン、いいわよぉ!」と長いウェービーヘアを揺らして語り出す。彼女は自分が食べて育った地元料理以外は、ほとんど受け付けない。ということは、ここはカリブ料理を出すレストランか。

 食の好みが極端に狭い彼女の評価を鵜呑みにはできない。理知的な判断をするカルロスにテキストを送って彼の意見を聞くことにした。すぐに電話がかかってきて、「俺がカティアに勧めたレストラン、Palmeだろ」となって、行ってみる価値があることはわかった。さらに、Palmeはカリビアン料理に括ると少し乱暴で、どちらかと言うとクレオール料理チックな面もあり、ハイチとか、ドミニカン共和国とか、合衆国よりの英語圏カリブ海諸国系の料理で、…云々…でね、南アメリカ寄り、つまりスペイン語圏のカリブ海諸国の味とは少し違ってくるっていうかー…云々…(次号へ続く)。という説明を受けた。私にその辺りの差異がわかるだろうか。

 とにかく連日30度を越え、常夏気分も最高潮に達しているわけで、テラスで風にふかれようかという気分になった。夏の間、歩行者専用道路になっているSt-Catherine通りには、道路に張り出すようにテラス席を確保しているレストランが何軒も続く。Palmeもその中のうちの、割と最近できたレストランのひとつ。ひときわこざっぱりしている。清潔。

 テラス席と内側席は境目がなく、そのままどーんと店の奥へテーブルが続く。それに伴って開放感、明かるさ、熱気がグラデーションを描く。私たちは、カリビアン度ビギナーの奥のテーブルに着いた。メニューのわかりやすさシンプルさがまず気に入った。南国気分の時には、感覚的に生きているのであまり考えたくない。A4ぐらいの紙1枚片面にランチメニューは全て収まる。内容が異なるディナーメニューも同様に紙1枚分。そして、全く違う感じの料理で構成されている。さらに、各メニューの説明を読むと、「ああ、あれね」とこちらが想像ができない感じなのだ。

頼んだのは以下の通り。
前菜:
■スイートポテトとジンジャーマリネのポタージュ $6

ベジタリアンセクション:
■ひよこ豆のココナッツカレー・自家製コーンブレッド付き $12

メイン:
■Djon Djonライス $14

サイドメニュー:
■スイートポテトのフライ $8
■プランテン $4

 ポタージュは初感覚のエキゾチックな味。チリとジンジャーのバランスが鍵だと言う。爽やかさとスイートポテトの甘さと、裏側にこっそり忍ばせたようなマリネの酸っぱさの組み合わせがいい。量はコーヒーカップほどの少なさ。

夜はカクテルやビールなど、23時頃まで楽しめる(夏期)。日中はどのテーブルに座っても涼しい風が吹き抜けて心地よい。カリビアン度中級ならテラス席に陣取ろう。
Villageにしては清潔なさっぱりした外観。夏を楽しむなら今しかない!
 ひよこ豆のココナッツカレーは、想像したものと全く違い、あえて日本人の感覚で言い換えると、野菜のココナッツミルク炒め和え。さっきまで、マンゴーだけ食べてたい、なんて言っていたのが嘘のように食欲が出ちゃう。不意を衝くアプローチのカリビアン!ただ、ひよこ豆がなかったのか、黒い豆がお皿の底の方に少し入っていただけで、豆料理を食べた感じはしなかった。さらに、セットのコーンブレッドも切らしていたのか、付いてきたのはふっくらもっちりの一口サイズの揚げパンのようなもの。ラッキーなことに、この一口サイズのパンがとってもいい。中に極々ちょっぴり甘酸っぱいピクルスのようなものが入っていて、儚い薄味。初めて食べる味だった。

 Djon Djonライスも初めて食べるもので、美味しいのだけれど形容がしにくい味だ。まず、ライスが墨色。その黒さは、ハイチ北部で獲れる黒いマッシュルームDjon Djonから移った色らしい。そしてモヤシなどちょろっと野菜が入り、小エビに衣をつけて揚げたエビbang bangと豚の角煮が墨色のライスの上に乗っている。味付けのベースが何なのか想像がつかない。料理全体の味なのか、ライスに炊き込んである味なのか、とにかくまとまっていて癖になる味。塩味だとか、甘みだとか言い切れない種類だ。カリビアン料理特有のスパイスの組み合わせの妙なのかもしれない。ただ、少し油っぽい。カリブ海諸国ではなくても、年中暑い土地や海に囲まれた常夏の島というのは、フライ料理が多く食べ物が油っぽいという傾向はある。そういえば、カティアは揚げてない魚は食べられない。

 スイートポテトのフライは、ねっとり甘くて期待通り。添えられた南国らしいオレンジ色のソースは、ポテトに何かつけて食べたい人には、やめられない止まらない路線のソースなのじゃないかと思う。私にとっては人とワイワイやるときの味!

 モントリオールの夏は短い。この時期だから、ここが10倍楽しくなる、人と10倍繋がれる、カリビアンの味が10倍美味しくなる。Palmeはそんな場所だ。このマジックを使うなら今!

Palme(カリブ料理)
1487 St-Catherine East
Papineau

取材・文:稲吉京子
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