NYに行ったら、まずはハンバーガー屋に行かないと気が済まないダビデ。新しい店の開拓はもちろんするが、信頼を寄せる行きつけの店がマンハッタンに2軒、ブルックリンに1軒あるという。じゃあ、モントリオールならどこに行くの?と聞いてみた。いろいろと細かい評価のポイントや、判断基準があるようだ。彼のようなバーガー道を行く輩ではなく、ごく普通に美味しいものが食べたいと思ってる人たちに勧めるならどこよ、と聞く。個人的な好みというより、出すものの味の安定感や立地、雰囲気、サービスなどの要素も含めての総合票でいくと「Burger Royal」かな、と言う。Saint Laurent通りにある、木目の看板が印象的なお店だ。

モントリオールらしいカジュアルで活気のある雰囲気。
fondue de champignon』(3oz:$10、6oz:$13、9oz:$16)キノコのソテーの香りとテクスチャーがビーフバーガーの香りを引き立てる。
fondue de champignon』を抑えて切り出してみた断面。肉、パン、野菜どれもがフレッシュ。
le gros boss』(3oz:12$、6oz:15$、9oz:18$)店で一番よく出るバーガーのひとつ。ビーフパテ+メープルでスモークしたベーコンが人をgrrrrrとさせるのだろうと推測。文句なく美味しいが、『fondue de champignon』との差をあまり感じなかった。
一人でも入りやすそうだ。金曜、土曜の夜は少し混み合う時間があるが、この活気も悪くない。
 土曜の夜7時ごろ店に着くと、ほぼ満席状態。ほとんど待たずに座れた最後の客が私だった。客層はマッチョな男の人ばかりかと思ったら、私の左のテーブルには50代の静かな夫婦、右側には清潔感あふれる20代の女の子二人が軽やかに会話している。どのテーブルにも共通なのが、手作り感溢れる高さのあるハンバーガーが運ばれてくること。

 メニューを開くと、ハンバーガーメニューだけでも結構ある。全バーガーを把握しようとすると、かなり時間がかかりそうだった。通路に並んでテーブルが空くのを待っている人とご対面してしまう席に座ったせいか、急いで頼まないといけないような気がして、一番よくオーダーされるというle gros boss($12、$15、$18)の真ん中のサイズを頼む。さらに、斜め読みしたメニューに「キャラメル化したキノコ」という記述を捉えて、『fondue de champignon』($10、$13、$16)をオーダーしてみた。これも中サイズ。ハンバーガーのサイズは3oz, 6oz, 9oz(85g、170g、255g)の3種類。一番安価な3ozと同じ価格でホットドックにもできる。

 さて、運ばれてきたハンバーガーは、大きな口を開いても収まりそうもない。とりあえず、ナイフとフォークで4分の一に切り分けてみたが、ここからさらに一口サイズにカットするのがアホらしくなった。手でつかんで噛みつくと、熱々で新鮮な肉の焼けた匂いと肉汁で口がいっぱいになる。一番人気のle grand bossfondue de champignonの具に、あまり大きな違いがなかったためか、両バーガー間に個性の違いを感じなかったが、当然どちらも美味しいのは確かだ。それ以外の表現があまり思い浮かばない。うまいかまずいかはっきり二つの評価に分かれるジャンルなのかもしれない。さらに気づいたのは、このての肉汁溢れるジューシーな高級バーガーというのは、人間の内なるタイガーやライオンを目覚めさせる食べ物である。ハンバーガーが好きな人たちというのは、このgrrrrrrrrrという肉食動物の渇きモードに入りっぱなしの人たちなのかな、とダビデの男性的なものの考え方や体型を思い出しながら思う。やっぱり肉、肉、肉なのよね、と言っている人にはオススメしたい。

 実は、メニューを読めば読むほど好感度と期待が上がった。挟む具を他のものに替えることができるのは珍しくないサービスだが、この店は守るゾーンが結構広い。例えば、パンをグルテンフリーのパンに替えるのは当然無料。パンの代わりにレタスでバーガーを包むのも無料!メープルでスモークしたベーコンを、ベジタリアン用ベーコンやピクルスのフライに無料で替えられる。チーズをナッツペーストや植物性チーズに$1で置き換えることが可能。さらに、オーダーしてから気づいたのだが、ハンバーガーの要、肉のパテは牛、チキン(フライかグリル)、自家製のベジタリアンパテから選べるというではないか!そのベジタリアンパテの材料はというと、キノコ+ナス+ひよこ豆のグリル、豆腐+大麦、ポワローネギのソテー、セロリ、ローストアーモンド、エシャロット、ニンニク、小麦粉とパン粉というから、基本のビーフバーガーを頼んでしまって大後悔。オーダーする前にわかっていれば、二つのバーガーのうち一つは、手間暇かけていそうな自家製のパテにして、チーズをナッツペーストに替え、パンをレタス包みに替え、ベーコンをピクルスのフライに置き換え、オプションでちょっと臭めなチーズとダブルトマトを追加したマイバーガーを頼んだだろう。

 さらにメニューを読み込んでいくと、なんと野菜4種類(ロメインレタス、トマト、赤オニオン、ピクルス)追加が無料!¢50〜$2の間でロケット菜などの野菜から、ワカモレやクリーム状にしたキノコやキャラメル化したオニオンやマリネなど作り込んだ具までも追加できる。ベーシックなソース4種類の追加も無料。チーズの種類や量も$1〜$2で変化がつけられる。さらには、オニオンリングやチリ、ペスト、卵焼きなどなど、自分のバーガーが作り上げられるような具の選択がたくさん用意されている。客層が様々なのも、こういう守備範囲の広い「選べる」システムが一役買っているのかもしれない。私は肉、肉、肉派ではないのだが、またこの店に行こうと思わせる理由はこの「可能性」だ。自分で足し引きして調整ができ、ハンバーガーという枠を超え、自分のポリシーから大きく離れない食べ物を注文できるという点だ。バーガーというジャンルに無関心だった私だが、分かれ道をいくつも経て自分だけのバーガー道を開拓するのも悪くないと思い始めている。

 バーガーのサイズはオンス(oz)表示だったため大きさのイメージがわかず、中くらいのサイズ(6oz)を頼んだが、普通の日本人女子なら一番小さいサイズの3oz、普通の日本人男子なら6ozでちょうどいいかもしれない。細身の都会っぽいフレンチフライをサイドディッシュとして頼む人たちが多いようだった。サイドメニューには、チリ($6〜$18)、マカロニグラタン($6〜$14)、プティン($6〜$18)、サラダ($3〜$14)、サンドイッチやスープなどもある。

 早速、雑食の友達をBurger Royalに行こうと誘ってみた。次回の目標は、grrrrrrは目覚めさせず、植物寄りにしつつもスキャンダラスでアドベンチャラスなマイバーガーを極める!

Burger Royal(ハンバーガー)
3820 Boul St-Laurent
(514) 282-0002
Sherbrooke
Saint-Laurent

取材・文:稲吉京子
過去のレストラン
当ホームページ内の画像・文章等の無断使用、無断転載を禁じます。すべての著作権はFROM MONTREAL.COMに帰属します。情報の提供、ご意見、お問い合わせは「左メニューのCONTACT」よりお願いします。
Copyright (c) 1996-2016 FROM-MONTREAL.COM All Rights Reserved