時間を気にせずゆっくり食事ができる
 今回はフィリピン料理を紹介しよう。フィリピン料理は日本から同じくらい離れているタイやベトナムの料理と比べてあまり知られていないように思う。モントリオールにも店の数は少ない。今回は初めてのフィリピン料理なのでいろんな種類を試したいと思い、ビュッフェスタイルの店に決めた。

 その店では一日中ビュッフェ$6.99(大人)、$4.99(5〜12歳)、$1.99(2〜4歳)が楽しめる。月曜から金曜までは少しずつ内容が変わり、週末はその中の人気のあるメニューが選ばれる。もちろん、一品ずつのメニューも揃っている。店のオーナー曰わく、フィリピンでは魚をよく食べるがモントリオールでは人気がある肉をメニューに多く入れているとのこと。

 ポーク、ポテトとニンジンをスパイスとトマトソースで煮込んだミヌド、茄子、オクラ、冬瓜、ポークを唐辛子と干しエビから取っただしで煮込んだパグデ。スプラウドビーンズ(小豆サイズの緑の豆)、ピーナッツをマスタードで甘酸っぱく煮込んだモンゴ。

フィリピンは米が主食
食べきれないほどの種類
甘めのカラメルクリーム
 変わったメニューでは、牛肉の肺を紙吹雪くらい小さく刻んで、柔らかく煮込みスパイスで和えたボビス、これはゼリーぽい食感の牛肉の肺とスパイスのぴり辛さがお酒に合いそうだ。他にブロッドプディングとオーナーが説明してくれたディタグアン。牛肉の脂身の多いところを油で揚げ(これをすると油分がかなり落ちるらしい。)ゼラチンで固めた豚の血と大量のマスタードで煮たもの。赤茶色のとろみのあるソースに肉が絡まっていて一見レバーの煮付けかなという感じだが、マスタードの酸味が利いていて少し甘みがあり食べやすい。でも以前ゼラチンで固まった大量の豚の血が透明のプラスチックの容器に入ってチャイナタウンの肉屋で売られていたのを思い出して、あまり食が進まなかった。

 フィリピンはかつて300年以上もスペインに統治され、その後アメリカに40年間支配下にあったという歴史から食文化もずいぶん変化した。料理にマヨネーズやトマトソースを使い、スペイン語の料理名をそのまま使ったメニューが数多くある。アプリタダチキンはそんな料理の一品で鶏肉と赤ピーマンをトマトソースとパプリカで味付けがされてある。また、昔には中国との貿易も盛んで中国料理も家庭料理にずいぶん取り入れられているそうだ。最近では大量の日本人観光客のおかげですしが食卓に並ぶことも珍しくないという。あまりにもいろんな食文化が混じったので一風変わった習慣や料理方法も独自に生まれた。豚肉と鶏肉を一緒に調理したり、食事にはフォークとスプーン(ナイフはなし)で食べたり。

 本来のフィリピン料理は酢、柑橘系の調味料をたくさん使う。日本のように風味程度ではなく、どばどばと肉、野菜の入った鍋に入れくつくつ煮込む。長く煮込みときつい酸味が取れ、脂身の多い肉を使った料理は後を引くこってり感が消える。また日本で鰹だしをよく使うように、料理のほとんどに干しエビから取っただしが入っている。カナダ人によく、鰹だしの入った料理は魚くさいとよく言われるが、干しエビのだしはそれ以上に存在感のある風味だ。

 デザートはメレンゲをパンケーキのように焼きカスタードでくるんだブラゴを食べた。メレンゲの生地の部分はふわふわだがもちもちしていて、綿菓子とマシュマロをいっぺんに食べてるような感触だった。

Halina Sa Nayon(フィリピン料理)
6254 Côte-des-Neiges
(514) 731-7670
Côte-des-Neiges
Plamondon
月〜日9:0022:00
年中無休
取材・文:坂井 桂子
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