店を正面はカウンター。メンバーがのんびりしている。生ジュースやスムージーが人気。奥のごろごろスペースもどうぞ。
今日のご飯「Tom Yum Kha」トムヤムスープの一種。抗酸化物質豊富な生薬で、免疫システムを強化。
ライスヌードルとスープがいい感じに絡んで、食後は心地いい満腹感がある。
オーナーのシャンタール。Facebookのサイトはフランス語のみだが、英語でも快く対応してくれる。
建物に入ったら、208の番号を頼りにくねくねと。
Tahu keringというインドネシア料理。黒い米は、リッチで「重い」要素を持ち、軽くピリ辛のスパイスが「熱」の要素を含む。今日のような、風の強い寒い日の「軽い」「空間」「冷」の要素を鎮めてくれる。
デザートはタピオカとブラウニー。もちろん乳製品、動物性食品なし、グルテンなし。ブラウニーはアーモンドを砕いたものが主原料。美味。デザートにはあまりバリエーションはない。
ぽかぽか、おおきな陽だまり空間。不思議な「間」がある。
 春はデトックスのシーズン。季節の変わり目ごとに浄化するといい言われるが、溜め込んだあれやこれやをごっそり排出できる最高のタイミングは春だ。まだまだ冬の様相のモントリオールだが、零度を上回る日もちらほら、日照時間は伸び、日の光で暖を感じることも多い。身体は自分が思う以上に環境や自然の変化を感じ取っているものだ。そこで、デトックスを考えている人に紹介したいのがLe Jubar。インドの伝承医学アーユルヴェーダの考え方を取り入れ、かつビーガン+グルテンフリーの食事を出す「会員制クラブ」である。

 Le Jubarは、看板が出ていないため、住所が頼りとなる。St-Laurent通りのビルの2階をくねくねと歩き、Moksha Yogaを通り越し、曲がりに曲がってようやくたどり着く場所に隠れるようにある。実際はレストランなのだが、外部に直接つながる出口がない造りのため、レストランの許可が市から下りなかった。会員制クラブとしたら営業許可が下りたというのがこのクラブのいきさつだ。一応会員制というスタンスは崩せないため、定期的に通うなら、10ドルを払ってメンバーになる必要がある。しかし、会員にならなくても、一見さんのランチは歓迎されるし、会員が同伴すればいつでも食事はできる。

 知らない人のために、アーユルヴェーダのデトックスの考え方を少し。人の顔や性格が違うように、人はそれぞれ独自のエネルギーパターン(ドーシャ)を持つ。これを個人の特徴にあわせて調整することが、健康や美の鍵であると考える。ヴァータ、ピッタ、カファという3種類のエネルギーの組み合わせで、個人の特徴が決まるのだが、この生まれ持った固有のエネルギーのバランスは、取り巻く環境や食事、アクティビティから絶えず影響を受けバランスが崩れる。バランスが崩れた状態が長引けば、毒素が体内で養われ蓄積し、いずれ体調不良や病気の原因になっていく。バランスといっても、シーソーの両端がつりあうようなバランスではなく、個人特有の生まれ持ったエネルギーパターンが保たれているという意味のバランスである。この崩れてしまった固有のバランスを、元の状態に戻すことによって、蓄積した毒素も排出される、というのがアーユルヴェーダの考え方である。

 しかし、こんなことは知らなくてもいい。身体によくて美味しい、しかもデトックス効果ありの食事を、かなり手頃な値段で楽しめもうとするだけで十分。メニューはなく、オーナーのシャンタールの気分と、その日の天候やエネルギーをみて作る食事が決まる。というのは、天候もまた、先の3つのエネルギーの組み合わせで説明され、作る食事の料理法、材料、使うスパイスなどを決定する要因になる。簡単な例をあげると、乾燥した寒い天候の日は、ヴァータの「乾」「風・空間」の要素が増しているため、それを抑えるような「熱」、「湿」、「地」の要素を持つ食事を摂ってバランスをとる。

 さて、今日は体に毒をもらないものが食べたいな、とFacebookLe Jubarのページに行くと今日のメニューが発表されている。今日は「Tom Yum Kha」($11)。他にメニューはなく、食事はこの1種類だけ。皆が同じものを食べる。今日はデザートにタピオカとブラウニーがあるらしいが、いつ何が出されるかはその日にならないとわからない。Facebookに書き込まれた大体の材料や、簡単な料理方のメモを頼りに想像し、店に出向いて椅子に座ると、「はい、これね」という感じで今日のご飯が出てくる。ローフード仕立てのラザニアや、ケベック料理のパテ・シノアもあれば、インドネシア料理、ブラジル料理、韓国料理、和食仕立ての玄米丼、もちろんインド料理、アーユルヴェーダ典型的な料理のときもある。さまざまな国籍の有名料理を真似てつくりました、という食事ではなく、あくまでそれにインスパイアされたスタンスで、アーユルヴェーダの理論を盛り込めるとこは盛り込んでつくられ、最終的にはLe Jubarオリジナルなビーガンご飯となって登場する。これがまた美味しく、身体が喜ぶ。甘い、酸っぱい、辛い、しょっぱい、苦い、渋いという6つの味を全部摂れる食事が理想といわれるアーユルヴェーダの食事法だが、そのあたりもしっかり(気にしてみないと気づかないかも)押さえている。味が単調でなく、あちこちに弾むような味がする。見た目も最高に楽しい。

 今日の「Tom Yum Kha」は、タイのトムヤムクンの一種で、ココナッツミルクを加え、レモングラスや、ガランガル(タイショウガ)、カフィライム(東南アジアで使用されるライムの葉)で、しっかりさわやかなタイ風味になっている。Khaというのは、このガランガルのこと。ちなみに、ガランガル、カフィアライム、レモングラスなどは、生薬として強い抗酸化作用を持ち、免疫系の強化が期待できる。きれいな黄色のスープだったので、さらなる抗酸化物質であるターメリックも入っているよう。ポリフェノールやベータカロチンやビタミン類が豊富なカラフルな野菜がふんだんに入ったスープを探ると、ライスヌードルが黄色のクリーミーなスープに絡まって顔を覗かせる。塩分は控えめ、殺菌効果や抗酸化の高いスパイスが使われ、腸の中でねばりを出し腸壁に張り付いたまま老廃物になりやすいグルテンを排除した食事は、デトックス週間でなくても摂りたい食事だ。コリアンダーの葉やココナッツのフレーク、パイナップルなどが、トッピングされるので、苦手なものがある人は、一言伝えておくとおくといい。

 Le Jubarでは、新鮮なものを食べるというアーユルヴェーダの原点どおり、その日に作ったものしか出さない。加工されたもの、出来合いの食品、冷凍したものは、プラナ(生きたエネルギー)がなくなってしまっているので避けるべき食事とされる。前日からの残り物や、作りおいたものもやはりNG。 というわけで、ここでは料理がなくなったら店じまい。午後に入って、Facebookの壁に「あと4皿分!」などと書き込みが入る日は、早仕舞いのこともある。メニューとはあまり関係なく、混んでいる日もあれば、ゆったりのときもある。注文して料理が運ばれ、会計してさようなら、という通常のレストランとは空気自体が違う。まず、オーナーのシャンタールは、ハートが開いた人だ。そのバイブレーションは店や食事にも多大な影響をあたえているはずである。そして、空間の取り方がいい。店にはいると、その間延びしたようにみえる空間が実に心地よいことがわかる、アーユルヴェーダにはヴァーストゥという風水のような考え方があり、自然との調和、エネルギーの流れを考えた家の造りや、装飾方法がすすめられている。ヴァーストゥを取り入れた空間作りをしているのかは聞かなかったが、どちらかといえば、エネルギーフローを感じとる彼女の感性の成せる技のかもしれない。この空間とオーナーなら、環境のバイブレーションに敏感な人、マインドレベル、スピリチュアルレベルからのデトックスを目指す人にもおすすめである。

 月曜、火曜、土曜は11時から15時まで、木曜と金曜は11時から19時まで、今月から水曜は11時から20時まで営業するという。一見さんとしてひとりで行っても、日本語で挨拶しても、踊りながら入っていっても、なんでも受け入れてくれるような包容力がある店だ。ビーガン食にしり込みしているのなら、カウンターで生ジュースやスムージーから試してみては?心の毒も溶け出すかも〜。

Le Jubar(ビーガン+グルテンフリー)(HP)
3863 Boulevard Saint-Laurent, Suite 208
(514) 677-0734
Sherbrooke
Saint-Laurentから55番のバス

取材・文:稲吉京子
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