サーモンマリネのサラダ 青いパパイヤのミントのクリームソース和え$14。一見オーソドックスなタパスだが、口の中には東南アジアが広がる。もう少し食べたいと思わせるさりげなさ。
Gado Gado(ガドガド)$12。Gado Gadoといえばインドネシアのサラダの定番。インドネシアの大豆の発酵食品であるテンペや揚げ豆腐、野菜をsambal kacang(サンバルカチャン)というインドネシアのソースで食べる。このソースがなぜか懐かしい感じ。
タコのグリルにハーブクリームで和えたキノア、オニオンリングにメイヤーレモンのソース$15。ふわふわに仕上げたキノアと、香ばしいタコのグリル、さっくりと揚がったオニオンリングの組み合わせがいい。酸味を抑えたレモンソースがうまくまとめてくれている。
半焼きのチョコレートケーキ$7。これも一見普通のデザートだが、生姜のアイスクリーム、ほんわかあったかいチョコレートケーキを口に入れると、カルダモンの香りが広がり気分は東南アジア。
チーズケーキ$7。ターメリックとヤギのチーズでできたしつこくないデザート。底に敷いたらナッツのプラリネのザクザクと、上に乗ったリンゴのコンフィのねっとりが対照的。
ひっそり淡々とした感じの店。客層も静かでわきまえている。
週中は夜のタパスのみ、週末はブランチのみの営業。
ひとりワインとタパスで食事をする人もウェルカムな雰囲気。
 ヴァレリーの肌は白い。とにかく白い。雪のように白いという形容があるが、彼女の肌は雪より白いんじゃないかと思う。その肌の白さとは関係ないが、日照時間が少ない秋冬は気分が塞ぎがちになるというヴァレリー。愛用するのは、擬似太陽光を発する3面鏡状の卓上パネル。11月に入る頃からせっせと、毎日10分から15分、真っ白な顔にこれを照射して、脳内のセロトニンを活性化し気分の安定を図っている。それでも冬真っ只中の2月は落ち込むと言うから、何かでスパイスアップしようということになった。落ち合ったのはJean-Talon駅から徒歩数分の所にあるMIA Tapas Indonésiens。平凡なタパスをインドネシアの香辛料のマジックで、全く新しいエキゾチックなタパスに変身させてしまうインドネシア人シェフのお店だ。

 季節によって使われるものが多少変わるが、野菜のタパスが3種類、魚介のタパスが4種類、肉類のタパスが5種類と常時12種類のタパスがある。ここでは1人につき2皿のタパスを適量として薦めているが、私たちは3皿を2人でシェアし、1皿軽くした分、デザートをしっかり楽しもうということになった。というのも、ヴァレリーがここに来ておいてデザートを食べないなんて考えられない!と言うからだ。

 まず運ばれて来たのが…

●サーモンマリネのサラダ 青いパパイヤのミントのクリームソース和え$14

 久しぶりに青いパパイヤを食べたが、サーモンと合わせたのは初めて。ミントの香りに包まれた細切りパパイヤが、シャクシャクと口の中でいい感じ。サーモンはマリネしてあるのを感じさせず、刺身に近い新鮮さを残している。

Gado Gado(ガドガド)$12

 Gado Gadoはインドネシアの定番サラダで、テンペや揚げ豆腐、野菜をインドネシア独特のソースで食べる。MIAではボストンレタスやチェリートマト、揚げ豆腐、テンペ、目玉焼きなどにsambal kacang(サンバルカチャン)ソースがたっぷりとかかっている。sambal kacang(サンバルカチャン)は、sambal(サンバル)というチリベースの香辛料とピーナッツバターを混ぜてケチャップマニスという甘みのある調味料ソースを加えたソースで、ホッとする味だ。どんな野菜もこのソースさえあればバリバリ食べられそうなほど誘ってくる味。このソースは家で作って常備しておいてもいいなと思う。

●タコのグリル ハーブクリーム和えのキノア オニオンリングにメイヤーレモンのソース$15

 タコのグリルは、グリルというよりは揚げた感じの香ばしいタコの脚で、神社のお祭りに並んだ昔の屋台の味を思い出させた。爽やかで淡い印象のハーブクリームでふわっとした舌触りにまとめたキノアは、歯ごたえのあるタコの脚やサクサクのオニオンリングと好対照で面白い。酸味の少ないメイヤーレモンを使ったソースが後味の良さの鍵のようだ。

 タパスレストランというだけに、お酒を飲む人たちが多く、肉食派も含め以下のものもよく注文されるようだ。

●子牛のレバーにマッシュしたポテトとレンズ豆、細かく刻んだポワローとキャベツのココナッツ和え、オレンジ風味の玉ねぎのコンポート$15

●鴨のタタキにカブのピューレ、カリっとさせたリードヴォー、人参の煮物、フェンネルのマリネサラダ$15

●インドネシアのスパイスで味付けした新鮮な牛のタタキ$14

 さてさて、女同士のデザートの時間。4種類のデザートから選んだのはこれ。

●半焼きのチョコレートケーキ$7

 少し火を入れてふんわり暖かくしたダークチョコレートケーキ。これを、見事に東南アジア風味に仕立て上げているのは、ふんだんに使われたカルダモン。その上にジンジャーのアイスクリームがトロトロととろける。ケーキ屋さんではまず見つからない味で、確かにここで食べておく必要があったなと納得する。

●チーズケーキ$7

 ターメリックとヤギのチーズを使ったチーズケーキで、ナッツを細かく砕いたプラリネを土台にしている。トップにはリンゴのコンフィが乗る。おしゃべりの最後を飾る華やかな味。

 外は凍りつく冷たさだけれど、インドネシアのスパイスのせいか、ちょっと懐かしいほんわかした気持ちになった。そうヴァレリーに言うと、おばーちゃん家にいるみたいよね、と返ってきたので驚く。日本人に特有の味覚や感覚なのかと思っていたが、グリーンの目に透けるような肌のヴァレリーもそう思うというから、インドネシアのスパイス侮れない!

MIA Tapas Indonésiens(インドネシア料理)
350 rue Castelnau Est
(514) 678-2308
Jean Talon

取材・文:稲吉京子
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