にこやかにお茶をつぐウエイター
 モロッコ人移民が多いスペイン、フランス、イタリーではモロッコ料理は大衆料理だそうだ。確かにヨーロッパ人の移民が多いケベックも、大体のスーパーでメルゲイズソーセージ、クスクス、ひよこ豆等の食品が手に入る。モロッコ料理は地理的に近いスペイン南部や、アフリカの食材を取り入れていて、それにスパイスやハーブを利かせ独特な味を作り出している。

 モントリオールでモロッコの食材は一般的なのにレストランは少ないようだ。その中でもステージがあって、エンターテイメントを楽しみながら食事をするという形式をとっているレストランが多い。でも今回は、プラトーのど真ん中でお客さんの95%がカナダ人という、ケベクワに慕われながら15年間商いをしているレストラン(ステージなし)を紹介しよう。

所狭しと物がのったテーブル
ボリュームのあるクスクスロイヤル
ケーキのようなパスティラ
 店の中は薄暗い照明で、無造作に小さなテーブルが並べられている。店の隅には小さなグループテーブルとソファーが備え付けてあり、数人で座るところを約10人が隣の人と肩が触れ合うくらい、ぎゅうぎゅうに座って食事をしている。なんだか友達の家に食事に来たような雰囲気だ。ではメニューを見てみよう。フルコースセットは均一に$23.95。前菜の前に、ホムス(ひよこ豆とガーリックのディップ)とナンがテーブルに並ぶ。ホムスは口に入れると、最初にガーリックが舌にピリッと辛く感じられるが、そのすぐ後に甘いスパイスの香りがほんわり口の中に広がる。

 前菜には、パスティラ:鶏肉、アーモンドのみじん切り、サフランで味付けた玉葱をパイ生地で包んだもの。美味しいのだがとても甘い。見た目もパイの上に粉砂糖とシナモンが振りかけてあって、デザートみたいだ。食事の前に甘いものを食べる習慣がないと違和感がある。シーフード入りパスティラは少し小さめで甘くない。モロッコサラダ:小さく刻まれたキュウリ、トマト、玉葱などが入ったあっさりしたサラダ。

 メインには、ガーリックとサフランが入った、カラメルソースの質感のソースを骨付きラムに絡めたメショウイ。ラム肉、鶏肉の串焼きと、メルゲイズソーセージがセットになったクスクスロイヤル。モロッコ独特の料理法タジン鍋煮込みもちゃんとある。サハラ砂漠地帯の生活者が考えたタジン鍋は水無で煮炊きが出来る。タジン鍋は鍋の蓋が他よりも高く、蒸気抜き用の穴がないのが特徴。そして水を蒸発させる料理よりも加熱の時間が短くてすむ、食材の旨味、栄養分を逃さない、厚手の鍋なので保温が利くなど利点が多い。エビのタジン鍋、アーモンド、ドライフルーツとラム肉の入ったタジン鍋、オリーブ、レモンとチキンのタジン鍋。どれも野菜とクスクスがついてくる。クスクスは野菜スープと出てきて、好みで味が調節できる。

 デザートにはアーモンドクリームが挟んである、甘さが控えめのバクラバとミントティー。ウエイターが急須を高い位置で構えて、熱いお茶をグラスのコップにめがけて注ぐ。これが美味しいお茶の入れ方なのだそうだ。簡単そうに見えて、結構難しい。メニューは、もちろん単品で頼むことも出来る。ここは珍しく、持ち込み出来るお酒はワインとビール。また、ケータリングも扱っているとのこと。詳しいことは電話で相談してみよう。

Le Couscous Royal(モロッコ料理)
919 Duluth Est.
(514) 528-1307
Mont-Royal
Sherbrooke
月火:休日
水〜日:17:0022:00(ラストオーダー)
取材・文:坂井 桂子
過去のレストラン
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