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--- 文化や風習に驚いたことなどありましたか?
「日本において、人種の混合が少なかったと言う事と、 パーソナル・スペース(人が不快に感じない対人距離)の広さでしょうか!」
--- と言いますと?
「富山県に親戚がいるのですが、初対面でフレンドリ−にハグしたら、皆ちょっと引いてしまって「やっぱり、ブラジル人だー!」とか言われましたね(笑) 日本の人たちは、ブラジル人に比べて、始めはものすごく他人行儀と言うか、打ち解けるのにちょっと時間がかかる様に思われました。でもその代わり、時間がたてば心底打ち解けて、芽生えた絆は本当に強い物となる...そういった印象が有りますね。」
--- 結局、日本には何年住んでいらっしゃったのですか?
「10年間です。始めは舞踏を学ぶのが目的だったのですが、途中で段々自分にはあまり合ってないと思ったので辞めました。でもその後、東京のカナダ大使館で文化事業コーディネーターとして働きはじめ、そうこうしているうちに、語学学校で、フランス語のマネージャーをしていた、現在の妻に出会ったんです。」
--- この運命的な出会いが、カナダにいらっしゃるきっかけになったんですか?
「はい、彼女がもともとケベック出身だったので。さもなくば、オーストラリアにでも行こうと思ってました!」
--- 何故オーストラリアへ行こうと?
「暖かいからですよ!だって、ここの冬は本当に寒いじゃないですか!(笑)」
--- さて、話は変わって、近年のご活動について伺いたいと思います。数年前まで、Conseil des arts du CanadaのJapan-Canada Fundと言うプログラムに、コンサルタントとして携わられ、そして現在では、様々な文化組織やギャラリーにカウンセラーとして関わっていらっしゃいますが、具体的にどのような事をなさってきたのか、少しお話しして頂けますか?
「Japan-Canada Fundのコンサルタントとして、日本人アーティストをカナダの観客に広く紹介すべく、数多くのアーティストを日本から連れてきて、展示や公演を開催する事に尽力しました。現在は、la Companie de danse africaine Nyata-Nyata, そしてMai (Montreal, arts interculturels)といった所に、カウンセラーとして携わっています。目的としては、この街にダイバーシティー(性別、民族、文化等の多様性)をもっと浸透させることですね。」
--- この、ダイバーシティーと言う言葉を、現在様々な場面で耳にするのですが、Miltonさんからみて、モントリオールにこの多様性と言うものは浸透していると思われますか?
「残念ですが、本当に色々な場面でこの言葉に遭遇する割には、法律で定められ以上の定着は、まだまだ出来ていない様に見受けられます。良くなってきてはいますが、特にケベックでは、歴史的背景も要因となって、ケベック人以外の社会への受け入れや対応が、他の場所に比べてやや遅れ気味だと感じますね。」
--- 打開策はあるのでしょうか?
「そうですね、この状況を変えるには、どうしても組織のトップの人が、もっと将来を見据えた目標を立てる事、例えばダイバーシティーと言う観念を、根本から徹底して教育していくプログラムを作る必要等があると思います。つまり、今まで通り即効性だけを求める方法を取続けても、この問題は全く解決しないと言う事です。」
--- さて、この他にも、色々と活動なされている様ですが、ダンスと俳優業にも力を入れてらっしゃるんですよね?
「はい。去年は、コマーシャル、舞台作品等のへの出演など、俳優業に集中していた感じでしたが、今年は俳優業よりも、バラタナティヤムというダンス(インドの古典舞踊)の方に力を注いでいます。」
--- 近々公演などは予定されてますか?
「はっきりとした日時は決まっていないのですが、秋ぐちあたりに是非やりたいと思っています。」
これからの益々のご活躍に期待してます!
文/Text:畑山理沙/Risa Hatayama
Photos: Courtesy of the artist