Darling Foundryの設立者の一人でディレクターのCaroline Andrieuxさん
400万ドルをかけて修築したDarling Foundry
通気口
作品:Perrine Lievens
通気口のアップ
作品:Perrine Lievens
ネオンのバルコニー
作品:Perrine Lievens
プロジェクターを使ったバーチャル映像
作品:Rainer Eisch
作品:Rainer Eisch
 モントリオール旧市街の西の外れにある古い歴史的な鋳造場をコンテンポラリーアートセンターとして蘇らせてスタートしたDarling Foundry。この街の中でも珍しくin-situプロジェクトに力を入れている他、 展示、コンサート、アトリエ、レジデンシープログラムなど幅広い活動が行われている場所でもある。
 今回はこのセンターの設立者の一人であり、ディレクターでもあるCaroline Andrieuxさんとのインタビューを中心に、先月12日にオープンしたFoundryに於ける二つの展示の様子も皆さんにお届けしたいと思います。

--- フランス出身だそうですが、そもそもモントリオールに来られたきっかけは何ですか?

 「今はもう取り壊されてしまいましたが、l'Hopital Éphémèreと言う歴史的廃墟を修築して作ったアートセンターを90年代からパリでやってたんです。それを知ったケベックのMinistère de la Cultureが1992年に『モントリーオールには山ほど廃墟があるから何かやってみないか』と、招待を受けてこの街を訪れたのが始まりです。実はそれまでモントリオールが地図上でどこにあるのか、何語が話されているのかすら知りませんでした!(笑)」

--- それでは、ここへ来てからどうやって現在の建物Darling Foundryを見つけたんですか?例えば、歩き回ってるうちに『ここだ!』と閃いたとか?

 「招待を受けて来た時、真っ先に旧市街に連れてこられたのですが、その中で最もインスピレーションを受けたのがここだったんです。それから2年後の1994年から2年間、総工費約400万ドルをかけて建物を修築し、現在に至りました。」

--- 確かに今の大きい方のギャラリーは、元の鋳造場の歴史を感じさせつつもスケールの大きい独特な空間に生まれ変わっていますね。でも、もともと廃墟をアートセンターに変えようと最初に思い付いたきっかけは何だったんですか?

 「学生時代からの友人達にアーティストが多くて、友人達から『発表する場所が数限られてる為になかなかチャンスが巡って来ない』と言うような悩みをいつも聞いてきました。そうこうしているうちに、私自身も普通の美術館や白壁に囲まれたギャラリーじゃなく、もっと前衛的なalternative spaceで、しかももっとアンダーグラウンドという形で新しい才能を手助け出来る方法は無いかと思うようになったのが始まりです。」

--- なるほど。だからこそ、ここに有る2つの展示室のうち小さい方を本当に若手専用に提供し、大きい方のギャラリーを経験豊かなアーティストのin-situプロジェクト専用にしているのですね。

 「その通りです。『若手アーティストが第一歩を踏み出す手伝いが出来たら・・・』と言う私達の心からの願いと、経験豊富なアーティストに普通のギャラリーには無い空間で、良い意味でのチャレンジを与えたいという考えからです。」

--- 最後の質問です。今後の抱負をお聞かせいただけませんか?

 「今後の抱負ねぇ……この質問にちゃんと応えるには1年位かかりそうね(笑)」

--- え?!それはまた長いですね!(笑)

 「ここ10年間このセンターを運営して、当初の目的はもうすでに達成したと言っても過言ではないので・・・・。でも、強いて言うならば今迄の活動を維持していく事と、アーティストに助成金なども出せる様な組織に成長して行きたいと思っています。」

さて、気になる展示の方はと言うと・・・

【こんな物がこんな素材で出来たらどうする?!】

 小さい方のギャラリーではフランス出身の若手彫刻家Perrine LievensDEUX DIMENSIONS ET DEMIEと言う展示が開かれている。室内には、全く異なった素材が全く異なった技法で出来ている作品が4つ。本人によれば、素材の面白さを表現出来る『フォーム』を見つける事が好きだとか。
 私のお気に入りはCourant d'airという紙で出来た通気口。白い半紙の様な紙に切れ目を作っただけと言う実にシンプルな作りだが、この紙製通気口を通り抜ける風でほんの微かに動くところが魅力の作品。この他にはネオンチューブで出来たバルコニー(現在MACMでやっているBruce Naumanの展示とは全く繋がりがないので悪しからず!)。水に浸され、ブヨブヨにふやけてしまった石けんがインスピレーションだったと言う、シリコンの様な素材で出来たなんとも不思議な感触の排水口などの面白い作品もある。

【これがテクノロジーと人類の成れの果て…か?!】

 大きい方のギャラリーでは宇宙基地実験を彷佛とさせる長大?なビデオインスタレーションを展示中。この作品はスイス人アーティストRainer Eischによるもので、これが彼の北米初の展示となる。NOUS SERONS-NOUS JAMAIS RENCONTRÉSと題されたこの作品は、プロジェクターを乗せた小さな台車が木製のレールの上を移動し、反体側に設置された長大なスクリーン上にバーチャル風景映像を映し出していくと言う作品。テクノロジーに対する警鐘と風刺がテーマと言う事だが、正直言って題名の愛昧さと作品紹介文に書かれていた16mm 映画技術への関連性が伝わらないため、私の目にはただ単に人類の遥かな宇宙への憧れがテーマの作品のように映ったのは穿った見方であろうか?とは言うものの、壮大なスケールのスクリーンにゆっくりと映し出される『機械的だが穏やかな風景』に、ちょっと時間を忘れて見入ってしまったのは確か。

文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Installation photos: Guy L'Heureux
ギャラリー:Fonderie Darling Foundry / Quartier Éphémère
所在地:745, Rue Ottawa, Montreal
スケジュール:水〜日:12時〜19時 木:12時〜22時 月・火:休館
メトロ:Square Victoria(徒歩7分)
電 話:514-392-1554
ウェブサイト:www.quartierephemere.org
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