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--- 『bonsound』について 「『bonsound』は、コミュニケーション・マネージメント・マーケティング・プロモーションを専門にしたサービスを音楽業界のアーティストやレーベルに提供する音楽エージェントです。2004年に会社を設立し、今は10前後のミュージシャンやバンドの音楽エージェントとして、その宣伝、エージェント業務、ラジオトラッキング、ショーの出演契約等すべてのサービスを提供しています。ミュージシャンたちは音楽活動に専念し、『bonsound』がそれ以外の運営に携わる部分を担当します。ひとつのエージェントですべての運営機能がまかなえるので、ミュージシャンは低コストでマネージメントができるわけです。つまり、アーティストはマネージメント業務を『bonsound』ですべて行うことができるので、複数のエージェントにそれぞれのサービスに対するコミッションを払わずにすみます。現在、『bonsound』と契約を結んでいるアーティストは、『Call Me Poupée』、『Champion』、『Comme un homme libre』、『Gwenwed』、『Le Nombre』、『Les Breastfeeders』、『Malajube』、『Philippe B』、『Sunny Duval』、『The Dagons』、『Yesterday's Ring』です。『bonsound』は、バンドやアーティストのマネージメント業務を受け持ち、彼らの音楽活動を楽にする音楽エージェントということになりますね。」
--- 『bonsound』を立ち上げたきっかけ --- フレンチ系ミュージシャン、バンドの現状 「『bonsound』がマネージメントをしているミュージシャン、バンドの多くがカナダ政府からの助成金によってツアーやその運営をまかなっています。北米全体でケベックのフレンチ系音楽の人気がでるのは珍しいことですが、フレンチ系の音楽は他の英語系のものに比べ、音楽市場での競争率も低く、政府からの助成金ももらいやすいという利点があります。フレンチ系の音楽ではあっても、音楽がよければ人気も出ます。僕のバンド、『Le Nombre』の最初のアルバムは、2003年にWFMUというニューヨーク、ニュージャージのラジオ局で最も流されたという記録を持っています。フランス語でロックを歌っても、音楽がよければ、歌われている言葉は関係ないと思います。」 --- 海外での反応
「僕のバンド『Le Nombre』のツアーが5月にフランスで18日間あり、パリ、ボルドー、トゥールーズ、グランノーブル、ブレスト、モンペリエ、そしてスイスでショーをしました。フランスでもフランス語で歌うロックバンドは珍しく、僕らのバンドはフランスでとても喜ばれました。ロックだからといって、英語で歌わなくてはいけないということはないし、僕らにとって一番親しみのある言葉、フランス語で歌うのはある意味、それが普通なのです。これまでに『Le Nombre』は、フランス、そしてボストンやニューヨークなどのアメリカ東海岸でツアーを行いました。2000年に日本でG8サミットが沖縄と福岡で行われたとき、その文化イベントとして友人のバンドが招かれ、僕はそのバンドのツアーマネージャーとして日本に初めて行きました。」 「本当の僕の名前はGourmetではないんです(笑)。僕の家には常においしいものがあり、僕自身も食べることに目がなかったので、バンド仲間でのステージネームをお菓子の缶に書かれていた言葉からとってGourmet(グルメ:食通、美食家)にしました。そのほうがみんな覚えやすいだろうし、親しみも感じてくれると思うしね。僕は『Le Nombre』の前に二つのバンドを組んでいました。だから、音楽から切り離した生活は考えられませんね。多くのミュージシャンがそうであるように、音楽活動だけで生活できるのは、ごく限られた人だけです。かといって、音楽とはまったくかけ離れた仕事をするのには抵抗があったので、『bonsound』を立ち上げることによって、平日はオフィスでミュージシャンやバンドのマネージメント業務をし、残りの時間を自分のバンド活動にあてています。」 --- 好きな日本のミュージシャン 「日本のミュージシャンで好きなのは、『ミッシェル・ガン・エレファント』と『Electric Eel Shock』。そして、『Le Nombre』がフランスで一緒にプレーした『54 Nude Honeys』。基本的にハードロックが好きだし、僕のバンドもフレンチのロックです。でもそんな音楽だけでなく、『Eleni Mandell』のようなゆっくりとしたロックに聞き入ることも好きです。」 --- 日本人の読者に一言 「“Bring us to Japan!(日本に是非連れて行って!)”。今は目の前の仕事で毎日忙しくしていますが、日本からのミュージシャンやバンドをモントリオールに招待したり、またその反対にこちらのアーティストを日本にツアーで行かせることができたらいいなと思います。」 --- モントリオールの大手レコード会社でバイヤーをしている、Martin Langelier氏にさらに詳しくモントリオールの音楽業界の実態を聞いた。 「一般にカナダのフレンチ系音楽のビジネスは、とても成功しています。もちろん、レコードの売り上げのほとんどがケベック州内だけはあるものの、その他の州に見られるような英語系の音楽がアメリカ市場との競争に負けるというような心配がありません。市場は限られていますが、フレンチ系の音楽の競争相手となる市場が北米には他にないという利点があります。Celine Dionはケベック出身ではあるものの、今では世界的に人気のある歌手でありますが、大多数のケベコワアーティストはケベック内での活動で十分成功しているというのが現状です。」
カナダの人口は約3200万人、ケベック州はその中でも2番目に大きな面積があり、人口もオンタリオ州に次いで2番目に多い約750万人である(2004年)。多文化国家であるカナダの人種の割合は、イギリス系28%、フランス系23%、その他のヨーロッパ系15%、先住民族2%、その他アジア系カナダ人、アフリカ系、アラブ系6%、混血26%となっている。同じカナダ内でありながら、フランス系とイギリス系カナダ人とでは、人気のある音楽も異なるように、その違いが言葉だけでなく、音楽にも顕著に現れていることは、モントリオール特有のことではないかと思う。ケベック州最大の都市、モントリオールはフランス語圏の都市としては、パリに次ぐ規模である。ここの人々の生活は、フランス語とは切っても切り離せないということを、音楽の観点から見て、改めて実感させられた。 | |||||
取材・文:和田 良子 取材コーディネート:Moon-Hee Kim | |||||
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