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17歳でモトリークルーのドラマー、トミー・リーに初のインタビューを行い、それ以来15年以上何百人ものミュージシャンなどにインタビューして音楽ジャーナリストとしてのキャリアを確立してきた音楽ライターであり、現在でもモントリオールの無料情報誌Hourなどに記事を書いているMitch Joel。現在は、ベストセラー作家Seth Godinにより世界で最もクリエイティブなチームの一つとして選ばれたマルチマーケティングスタジオ、Twist Imageの共同経営者として主に活動中。また、客員講師としてマギル大学、コンコーディア大学などでも講義を行っている他、多くのNPO (non-profit organization)でゲストスピーカーとして活躍もしている。 ずっとモントリオールをベースに活動してきたMitchに、彼の現在の仕事について、そしてモントリオールの魅力について話を聞いた。 「Yes, 1971年生まれ、33歳。」
--- 17歳から、ずっとモントリオールで働いているんですか? --- どうしてTwistImageで働くことになったのですか? 「当時、僕は広告代理店の技術部門で働いていたんだ。最初は、面白そうな仕事だと思って始めたんだけど、数ヶ月経って、自分がハッピーじゃないことに気づいて、結局6ヶ月後に辞めたんだ。僕はもっと広告に関わることがしたかったんだ、例えば、ウェブサイト制作とかマーケティングとか、そういうこと。それで、面白そうなことをしている会社や人を捜していたんだけど、たまたま、その時働いていた会社のクライアントとして今の共同経営者と出会ったんだ。彼らは主にラジオやテレビのコマーシャルをプロデュースしたり、マルチメディアを駆使して広告を制作したりしていたんだけど、2週間一緒に働いた後、僕らはほんとにやりたいことが同じだということが分かって、一緒に仕事をすることにしたんだ。だから、会社自体は設立して5年だけど、僕が参加してからは2年くらいだね。」 --- モントリオールはアーティストの街で、グラフィックデザイナーも多いし、デザイン会社もたくさんあると思いますが、TwistImageが抜き出ているのはどんなところでしょう?
「僕らが他と違うのは、必要なことを全て統一して提供できるってことなんだ。クライアントに利益を与えるだけじゃなくて、そこにコミュニケーションと、グラフィックデザイン、それにテクノロジーを加えて、ひとつの場所でできるということなんだ。時々この話を始めると、いったい何について話してるんだ?って顔をされることはあるけどね。つまり、グラフィックデザイナーはウェブに関して技術的なことをあまり知らないし、ウェブデザイン会社はせっかく持っているスキルをどう活かすかについて知らない。ブログ(ウェブ上の日記)や、メールマガジンをマーケティングにうまく生かす方法を知らないんだ。でも僕らはそれを全部一つの場所でできる。だから、それぞれ独立した単独の作品じゃなくて、デザイン、コミュニケーション、マーケティング、全部で一つのクリエイティブな作品なんだ。」 「いや、グラフィックデザイン事務所や、広告代理店全部が競争相手だよ。でも、僕らはその中でも特にユニークなんだ。会社の中でも、役職はないし、僕ら全員が一つのチームで働いている。それに、僕らは見た目もユニークだしね。(笑)だから僕らそれぞれがクリエイティブなんだ。」 --- ウェブサイトに少しポートフォリオがありましたが、他にどんなことをされているのでしょうか? 「僕らは今ポートフォリオをまとめているところなんだ。でも僕らは僕ら自体について見てもらいたい訳じゃなくて、僕らがやったことについて見てもらいたいんだ。それぞれの作品がどんなものかをね。そして、ブランドを作り上げるために気づかなかった他の手段にも気づいて欲しいんだ。」 --- モントリオールだけが舞台なんですか? 「僕らはトロントにもバンクーバーにもアメリカにもいろんなところにクライアントがいる。でも特にモントリオールのクライアントは実に国際色豊かなんだ。だから、スタッフは世界を相手に活動しているようなものだね。」 --- では、モントリオールの利点はなんでしょう? 「もちろん、僕はここで生まれたし、家族もいる。これは最大の利点だね。モントリオールの有利な点といえば、ニューヨークから1時間、トロントからも1時間、ヨーロッパから6時間、バンクーバー、L.A.からも半日、モントリオールはとてもヨーロッパ的な街だし、英語、フランス語のバイリンガル都市でもある。でもなんといってもモントリオールは非常に多文化的な街なんだ。いろいろな文化が一つの都市に溶け合って存在するんじゃなくて、モントリオールはそれぞれの文化が尊重されて存在してるんだ。例えばアメリカみたいに多文化が溶け合って一つの文化になっているんじゃなくて、カナダはいろんな国の文化が同時に存在することを本当に歓迎しているし、やっぱりケベックではフランス語文化による多様性こそが街にもっと活気を与えているんだと思う。だから、ファッションもエンターテインメントも活気があるし、いろんな可能性が隠されている。それに、モントリオールにはいろんな才能が隠れている。世界中からいろんな人たちが来るし、フランス語の文化的背景を持った人はとてもユニークな視点で物を見ていて、これは他の都市では得られないものだね。」 --- モントリオールのフランス語文化をどう思いますか? 「素晴らしいと思うよ。フランス語のテレビ番組も楽しんでるし、フランス語での会話も楽しい。ここに来る人たちにとっては英語とフランス語のバイリンガル都市で生活していくのは難しいだろうけど、そんな人たちを助ける機関がたくさんある。それにモントリオールは移民を歓迎しているし、北アメリカの都市だということで、上質の生活を送ることができて、コストも、他の都市に比べると比較的安い。」 --- 音楽フリーライター、大学での客員講師、多くのNPO (non-profit organization)でのゲストスピーカー、そしてTwistImageの共同経営者と、様々な肩書きをお持ちですが、何があなたにとって一番やりたいことなのでしょうか? 「僕がそれぞれやっていることは、それぞれがお互いの仕事に影響を与え合っているし、全てが僕の私生活にも刺激を与えている。だから、僕はそれぞれが独立したものとは思わない。それぞれが全てつながっているんだ。それはとても、アジア的な物の見方だよね。東洋的哲学な物の見方で、常に初心を忘れずに、どんなことにもきちんと準備して取りかかる。そうすれば、自分の働きたい形になれるんだ。ラッキーかどうかも大きな要素だけどね(笑)。」 --- この先、具体的にどうしていきたいと思っていますか?将来について特に計画がありますか? 「世界征服かな。(笑)いや冗談だよ。今まで以上に、最新技術を使って人々を助けていきたいし、もっと地域社会にも関わりたい。それに、TwistImageが成長していいビジネスモデルになっていくところを見たい。」 --- 何をしているときが一番幸せですか? 「家族と一緒に過ごしているとき、自分がしたとは気づかずに人を助けているとき、人前で話しているとき、記事を書いているとき、自分のビジネスが成長するのに貢献しているとき、いい音楽を聴いているとき、音楽について書いているとき、家でリラックスしている時、それに、ただ書いたり読んだりしているだけでも幸せだね。」 --- たくさんありますね。 「Life is too short.(笑)」 --- 日本の人々に紹介するとしたら、モントリオールをどう紹介しますか? 「It's like France without attitude(笑)いや、冗談。そうだね、モントリオールの人たち、カナダの人たちはとてもフレンドリーで暖かい。モントリオールはとてもヨーロッパ的な街だし、びっくりするようなレストラン、ナイトライフ、それに仕事の機会が得られる。しかも、とても北アメリカ的な文化の中でだよ。だからとても独自でユニークなんだ。実に多くのアーティストがモントリオールに来て、みんなモントリオールを楽しんでる。ヨーロッパ的な北アメリカなんだ。」
日本について尋ねたら、SUSHIやウナギは大好きだし、以前は日本アニメの大ファンだったと嬉しそうに話すと同時に、「もし僕が日本に行くとしたら、日本が僕にしてくれることを探すんじゃなくて、僕が持ってるもので日本に価値を与えられるものを探すだろうね。」と常にアクティブで前向きな姿勢を見せてくれた。だからといって、肩肘をはっているのではなく、話をしていてもとてもリラックスしている。自分がハッピーになるためには、常に「自分であり続けることが大切なんだ」という言葉がとても印象的だった。
TwistImage:www.twistimage.com
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取材・文:後藤さおり | |
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