「モントリオール・エクスポズ、大家友和投手インタビュー」

大家友和(おおかともかず)
京都府出身、76年3月18日生まれ、京都成章高校から93年、12月ドラフト3位指名で横浜ベイスターズに入団。横浜では通算34試合に登板1勝2敗。98年、ボストンレッドソックスとマイナー契約。99年は2Aと3Aクラスで負け無しの15勝をあげ、その年のレッドソックス、マイナーリーグでの最優秀投手に選ばれる。2000年6月1日、3Aポータケットでインターナショナルリーグ史上3人目という完全試合を成し遂げる。7月にメジャー初昇格。2001年7月、モントリオール・エクスポズに移籍。181センチ77キロ、右投げ右打ち。

--- メジャーを目指してアメリカに渡って4年目。これまでを振り返ってどうでした?

充実していましたね。早かったとか、そういう風にはあまり思ったことないです。もっと歳をとれば、早かったなあとか感じるんでしょうけど。

--- 印象に残っている出来事は?

一番最初にアメリカに来てから、初めて出た公式戦です。99年のボストン・レッドソックス傘下の2Aで開幕したときで、その試合自体に僕自身は投げてはいないのですが、皆、キャンプ地で首になって行くから、そういうのを見てて、開幕したときに野球選手でいられて良かったなあと思ったし、そういうのは日本では経験というか、感じることのなかったことだなあと思って、それが一番印象に残っています。

--- 2000年6月に3Aでは史上3人目となるノーヒットノーランを達成しましたが、その時のことは印象に残っていますか?

3Aでのノーヒットノーランについては、別に何とも思わなかったです。これは本当です。今となっては昔話やし。その翌日も別にどうということもなかったです。次の日も、別に前日にそういうことが起こったというだけで、普通に次の登板に向けて調整をすることの方が忙しくて。周りの反応も、ワーッと来たけど、それも一瞬だけですからね。次の日にどこかのアメリカのでっかいテレビの取材を受けたくらいで、あと友達からメールもらったりとか。それくらいかな。僕自身には特別に大きな変化が起きたということは無かったです。日本からの電話で、叩き起こされたくらいです。そんな程度。

--- マイナー時代に辛かったことは?

辛いと思ったことはなかったですね。大体しょうもないことですよ。腹減ったけど、田舎にいて、車も無いし、外へ出ても何にもないし、ポータケット(レッドソックス傘下の3Aのチームがある町)はそうでも無かったですけど、マイナーにいると、周りに何も無いというのがしょっちゅうやったから、お腹一杯食べられるというのが単純に嬉しかったです。ご飯食べるくらいのお金は持っていたけれど、英語喋れなかったし、どこへ行けば良いのか全然分からなかったし。

--- やめて日本へ帰りたいと思ったことは?

それは全然思わなかったですね。楽しいしね。お腹減っても別にそれは良いでしょう。

--- メジャーを目指した動機は何だったんですか?

昔からメジャーリーグに憧れていました。中学生くらいから。はなからメジャー契約が出来ないというのは良く分かっていたし、日本のプロ野球でやっている頃には、マイナーリーグでも良いから、アメリカで野球をやってみたいなあと漠然とですが思っていました。興味があったんです。アメリカではどういうことをやっているのかなあという。テレビみたら、すごい体の大きい人が何か変なフォームでかまえて、変な打ち方していたり、個性的じゃないですか。そんなんですごい所までかっ飛ばしたりとか、すごく身体の大きいピッチャーがすごい球を投げたり、バシバシ抑えたり、単純にそういうことに魅力を感じていて、そういうところって一体、どういうところなんだろうかという感覚ですね。

--- こちらでプレーをしていて日本の野球との違いを感じますか?

僕自身の中の違いとすれば、こっちでやっていると楽しいということ。日本でやっている以上に楽しい。日本でやっていたころよりも、もっと野球をやるのが楽しく感じられる。球場に来ること自体が楽しいんです。日本でも一軍と二軍を行ったり来たりしている時期があったけど、アメリカ来てもメジャーとマイナーを行ったり来たりして、それはありがたくないというか、そうはしたくないけれど、それもよい経験をしていると思うし、それでも楽しいですね。

--- 言葉の面ではどうですか?

やっぱり慣れというのもあるし、多少の会話は出来るようになり、友達、知り合い、仲間も増えてきたし。それでかなり精神的に救われた部分もある。それは過去3年の慣れでしょうね。来たときよりは勝手が分かっているから過ごしやすい。コミュニケーションの面ではまだまだですね。もともと積極的に喋って行かないから、特にうまくもならないですね。重要なところは理解していないと駄目ですけれど、だいたいは分かっているつもりです。チームメートとのジョークも何とか大丈夫。

--- 去年11月にオーナー会議で決まったリーグ削減案。エクスポズが解散するというニュースをどう受け止めましたか?

別に、そうかあ、自分らどうなるのかなあという程度で。もうしょうがないですからね。どうすることも出来ないことですからね。どうしようもする気が無いのではなくて、すること出来ない。会社レベルとかそういった所の問題だから。僕らはグランドで野球やるだけですからね。

--- 野球をやっていれば、勝つこともあれば、負けることもあると思いますが、めちゃくちゃ打たれた後の気分転換方は?

特に気分転換もしない。その日、1日に対して反省したり振りかえるということはしますが、ちょっと打たれたくらいで、コロコロ自分のやることを変えたくないので、普通です。

--- 目標とする選手?成績?年棒?

目標とする選手は特にいません。毎日楽しくやってるじゃないですか。給料はもらえるに越したことはないでしょう。で、給料を上げるためには、たくさん投げないといけないでしょう?じゃあたくさん投げるためには、メジャーリーグにいないといけないでしょう。メジャーでたくさん投げないと、給料は上がらないですから。全部、繋がってるじゃないですか。

--- 5年後の自分は?

信頼を得られる選手、ピッチャーになっていたいです。チームから信頼を得られるような選手、プレイヤーとしてもそうやけど、人間としても成長し、自分を高めて、30歳くらいになって自分が成長できたなあと感じられるようになりたい。そのときにそう感じていたという風には思います。今でもそうなんですが、今、26歳で、その時よりどれだけ自分が成長したかなあ、まあそん時、どんだけの失敗を通過してきたかというのもあるやろうし。それをちゃんと振りかえり、成長していることが感じられる、そういう風になってれば良い。どうすれば成長したとか、こうすればというのは決めてない。

--- ご自分の性格は?私はピッチャーというと、気が強く、しっかりしていて、細かいところまで気が付くというイメージがありますが。

気は弱いけど、マウンドでは人が変ります(笑)。いいかげんです。どんくさいですよ。普通の投手はしっかりしていて云々という人が多いのかもしれませんが、僕自身はいいかげんやと思ってるんです。だらしないし、いいかげんやし、部屋の片付けもできないし。部屋の整理整頓もしなきゃいけないなあと思うんですけど、出来ないんですよ。しなさすぎる。少しくらいしろよって自分で思います。整理整頓できないから、これが無いというのは嫌やから、遠征ではついつい余計に物を持っていってしまうことが多いです。あれもこれもと持っていって、こんなに持たなくて良かったなあというのがたまにあります。

--- シーズン中のオフは何をしているんですか?モントリオールでの休みの過ごし方は?

ごろごろ。だらだら。本当です。パソコンいじるの好きですけれど、別に休みの日にはやらないですね。パソコンはいじって、何かトラブルあったら自分でどうにかして直そうとしますし。全部使わんと気が澄まないから、色々なことをやってますよ。数字大嫌い。算数の時点でつまづいてました(笑)。

--- 自分で料理もされるそうですね。

ボストンにいたときはよく自分でやってましたけれど、こっちへ来てからは全然。まず炊飯器をどっかに買いに行こうかなあと。これからずっといるもんやから持っておかないと。たまに、単純なもん、ご飯と目玉焼きとノリと味噌汁と。こういうものは日本食レストランでも食べられないじゃないですか。言えば作ってくれるかもしれないけど。こういうものくらいは普段、自分で作りたいですね。大げさなもんは出来ないです。

--- モントリオールの印象は?

きれいなところですね。これまではダウンタウンくらいで、他はあまり行ってないんです。車でオールドモントリオールを回ったことはあるけれど、それくらいですね。オフに車でボストンまで帰ったのですが、そのときはすごい田舎道も通りました。

--- ゴルフがお好きだとか。

ゴルフもそのうちね。シーズン中もしますよ。怪我には気を付けないといけませんが。シーズン中でも僕はあまり関係ないとおもいますけどね。

--- 今季の目標は?

目標と聞かれると、いつも言うことなのですが、1年を通して怪我をせず投げられることです。


取材・文:藤本紀子
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