昨年9月に初のコレクションを披露したAIR_D2004年秋冬コレクションのファッションショーが3月18日にSAT (1195 Boul. St- Laurent)で行われた。ショーの直前に、アトリエで彼らを直接インタビューすることができたので、今回はAIR_Dのブランド紹介と彼らのショーの模様を書きたい。

 AIR_D(エアー・ディ)というブランド名は彼らのアトリエのある通りの名前、AIRDからとられた。話には聞いていたものの、アトリエの住所をわたされ、地図上にその通りの名前を確かめるまでは、半信半疑だったのが正直な心境だった。オリンピックスタジアムのすぐそばだから、それを目印に来るようにと言われ、たどり着いたアトリエからは、本当にオリンピックスタジアムが眼前に見えた。

 そんなモントリオール東部の閑静な住宅街の中にある彼らのアトリエでは、デザイナーのカール・ラトラバースとマーケティング担当のブリジット・シャトランドの二人がコレクションの最終打ち合わせで忙しそうに働いていた。彼らの洋服に対する基本的な考え方は、第一に品質、そして自分に正直であること、つまり世の中の流行などに流されるのではなく、自分の着たいと思う洋服を作ることだそうだ。AIR_Dの洋服の発想は、日々の生活の中から見つけられたりすることが多く、通りを歩く人々のファッションを観察しながら、アイデアが浮かぶことも多々ある様子。また、カールの奥さんは現役のファッションモデルというもあり、彼女がAIR_Dの洋服を着ながら様々な国に行くため、世界中からの異なる反応も分かる。彼らの考える洋服とは、トレンドに流されることなく、快適かつ機能的な必要最小限の洋服を多くの人々に着てもらうことだそうだ。このような彼らの考えから、AIR_Dでは、モデルはただ彼らの洋服を着る、抽象的なアイデアを人々に伝えるだけの媒体であって、具体的に彼らの洋服を着る人のタイプを決めつけることはない。よって、AIR_Dのカタログやショーに起用されるモデルは皆、顔が隠されている。

 現在、AIR_Dの洋服はモントリオール、オタワ、エドモントン、ニューファウンドランド、アメリカではニューヨーク、ブルックリン、ロサンゼルスのブティックに置かれている。快適かつ機能的というAIR_Dのモットーは北米のライフスタイルに合っているせいか、ヨーロッパよりも北米、特にアメリカでの需要が多いのが現状のようだ。

 今回の2004年秋冬コレクションも前回見られたような、映像をうまく使ったショーだった。既存のファッションショーで見られるようなモデルがランウェイを歩くというのではなく、現代社会の都市生活の様々な映像とそれに合った洋服の映像が、頭から足まで真っ白のタイツをまとったモデルの体に映し出されたプレゼンテーションだった。具体的な洋服の様子は分かりにくかったものの、まだ新しいブランド、AIR_Dの目指す洋服のコンセプトを多くの人に発表するという意味では、とても感慨深い、すてきなショーだった。

 AIR_Dのアトリエを出て、同じ名前の通りを歩きながら、ふと振り返るとオリンピックスタジアムが大きくそびえ立っているのが見えた。オリンピックスタジアムと同じ年の1976年に生まれたデザイナーのカール。彼の作り出すAIR_Dの洋服が世界的に知れるようなブランドになることをひそかに願った。

AIR_D (HP)
取材・文:和田 良子
取材協力:長野 容子
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