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Leonard & Bina Ellen Art Gallery (2017/5/1)
ギャラリー
 街路樹の若葉が芽吹き始め、ようやく待ち焦がれた春の訪れを感じる陽気となってきたモントリオール。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 今回訪れたのはConcordia大学のHall Building。ここには当大学のアートギャラリー、Leonard & Bina Ellen Art Galleryの付属の展示プログラム「Sightings」の展示場があります。この「Sightings」は今から5年ほど前にLeonard & Bina Ellen Art Galleryの常設コレクションの50年を記念して始まったプロクラムで、小さな箱型のスペースの中でさまざまな展示が展開されてきています。今年度は大学、アート会場、社会空間との重要な接点である「教育」がテーマとの事です。

 さて、20回目となる今回の「Sightings」の展示では、モントリオールの彫刻家Karen Tamによる「Souvenirs from the Jasmine Café」と題された北米の中華レストランをテーマにしたインスタレーションを見ることができます。箱型のスペースの中にはTamが収集した大量の持ち帰りメニューやパンフレット、マッチのカバー、粗雑感漂う食器やユニフォーム、誰かがレストランで撮った写真など、中華レストランに関連した古いオブジェや資料が陳列されています。実はこの展示物の中に、Tam自身が新しく製作したオブジェも交えて展示してあると説明書きに書いてはいるのですが、残念ながら収集したものと新しく作ったものとの区別がつきませんでした。備え付けのスピーカーからレストランの厨房の様な音を流す工夫がされているのですが、展示場自体がHall Buildingの玄関のオープンスペースに設置されているため、周囲の音にかき消されてよく聞こえなかった事も残念に思いました。何にせよ、沢山の消費物を用い、普段私たちが中国製品に対して抱いている「大量生産」などの固定観念を刺激する事で、北米における中国人の移民の歴史に触れるきっかけを作ろうとしているように感じました。

ギャラリー:Concordia University, Hall Building
所在地:1455 De Maisonneuve Blvd. West.
スケジュール:3月20日〜6月17日
メトロ:Guy-Concordia
ウェブサイト:HP

文/Text:畑山理沙/Risa Hatayama