ARCHIVES
Maison des arts de Laval (2017/4/1)
ギャラリー
Photo: Guy L’Heureux
Photo: Guy L’Heureux
Photo: Guy L’Heureux
 春まだ浅く、寒い日々が続く毎日ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?今回のギャラリーレポートは、お隣のラヴァル市にあるMaison des arts de Lavalからお送りします。

 以前もご紹介したことがあるので覚えていらっしゃる方も多いとは思いますが、このMaison des arts de Lavalは、モントリオール北隣のラヴァル市にあり、地下鉄オレンジ線の東の終着駅であるMontmorency駅から徒歩10分ほどの場所にある、市営の芸術文化センターです。1986年に設立されたこのセンターには、20世紀を代表するケベックの画家Alfred Pellanの功績を讃えて命名されたLa salle Alfred-Pellanというビジュアル・アートの展示室があり、一年を通して色々な展示が開かれています。

 現在開かれているのは、Sainte-Anne-des-Plaines出身の若手彫刻家Steffie Bélangerの「L’utilité de l’nutilité」(直訳:無駄の有用性)という、人力で動くキネティック彫刻作品とドローイングの展示となっています。物事に実用性が求められる現代社会において、アート作品とその非実用性についての探究をコンセプトにしているそうです。Manon Tourignyがキュレーターとして携わった今回のこの展示。 計14点の作品で構成されているのですが、その中の10点の彫刻作品は、訪れた人が直接触れて作品を体験できるという趣向となっています。

 個人的には、木製の彫刻作品がまるで何かの「装置」や「遊具」に見えたため、展示室全体が子供向けのアスレチックになった様な印象を受けました。 ギャラリーの入り口に置かれた小さな冊子を手に作品を見て回る構成になっているのですが、個々の彫刻作品に作品の目線で書かれた短い逸話と、その動かし方の手順などが書き添えられているのも特徴的でした。ただ単に説明書きを添える、従来のありふれた方法をとらずに、 有効且つ創造的に作品を説明することに成功していたと思います。 余計な事を考えずに、純粋に「アートを楽しむ事」を教えてくれる親しみやすい展示でした。

 余談ですが、4月の第1〜第3火曜日にこの展示の一環として、Bélangerが教えるキネティック彫刻のクラスが開かれるとのことです。興味のある方は是非電話で問い合わせてみてください。

ギャラリー:Maison des arts de Laval
所在地:1395 boulevard de la Concorde Ouest, Laval
スケジュール:火〜日:13時〜17時
メトロ:Montmorency
ウェブサイト:HP

文/Text:畑山理沙/Risa Hatayama
Photo: Courtesy of Maison des arts de Laval