深い雪と氷に覆われた長い冬が終わりを告げ、ようやく春の兆しが見えてきたモントリオール。季節の移り変わりの時期で体調を崩す人も多いようですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 さて、春の暖かな日差しに誘われて今回訪れたのは、現在2つの展示が同時に開かれてるMaison de la culture Plateau Mont-Royal。入り口を入ってすぐの展示スペースには、メキシコ出身の写真家Victor Vargas Villafuerteによる「La moitié lointaine」という写真展、その奥のメインの展示スペースではGagnon-Forest(Mathieu Gagnon と Mathilde Forest)のデュオによる「Une archive imparfaite」という作品展を見ることができます。

 まず「La moitié lointaine」の方ですが、これは毎年夏になるとケベックに農作物の収穫等の仕事で出稼ぎに来る、ラテンアメリカからの季節労働者をテーマにした写真作品展となっています。この出稼ぎ労働者に関しては、ビザの問題、労働環境や低賃金などの問題が屡々メディアにとりあげられる事があるので、ご存知の方も多いかもしれません。今回の展示では、Montérégieに出稼ぎに来たメキシコ人季節労働者たちにカメラを向け、平均で年に22週間、家族の元を離れ出稼ぎに来る彼らの労働状況、生活環境、家族関係など、様々な問題に焦点を合わせているとの事です。しかし、残念ながら作品の説明を読まない限り、この作品からそう言ったテーマは読み取れませんでした。どちらかというと、労働者たちを一歩引いて客観的に映し出した「綺麗な記録写真」といったほうがしっくりくる気がします。彼らの扱いに対する問題を提起することが作品の意図であるなら、何かもう少し視覚的なヒントなり、工夫がない限り、作品からそのメッセージを受け取る事はできないように感じました。

 一方、「Une archive imparfaite」の方は、モントリオール市内に点在する歴史的建造物の保存がテーマの作品展で、老朽化によって取り壊しが決まっている建物や、不動産会社が購入した建物などの写真、3Dスキャンなど12点あまりの作品から構成されています。近年、歴史的建造物を不動産会社が買い取り、コンドミニアムに改装して、その部屋の売却料や賃貸料で高い利益を得ることが「悪」と考える風潮があります。もちろん、その建物に付加価値をつけることによって、周辺の地下価値が変わるなど、いろいろな弊害が発生するのも確かです。しかし残念ながら、いくら市など公共の機関が所有している歴史的建造物でも、保存にかかる費用(=市民の税金)を考えると、泣く泣く取り壊しという選択肢しかない場合があるのも現実。そう考えると、たとえ所有者が変わり、私的な営利目的で建造物を買いとる事になったとしても、せめて外壁保存だけでも施して建物を使い続ける事が出来るとしたら、それはそれで歴史の保存につながるのではないでしょうか?個人的には、頭ごなしに「営利=悪」と決めつけて批判し、開発を阻止する活動をするよりは、営利にしろ、非営利目的にしろ、せめて建物の一部だけでも保存を義務付けるような条例を制定、又は整理するように行政に働きかける方がよっぽど建物の文化的価値の保存につながるのではないかとこの展示を通して感じました。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of Maison de la culture Plateau Mont-Royal
ギャラリー:La Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal
所在地:465, avenue du Mont-Royal Est
スケジュール:火〜木:13時〜19時 金〜日:13時〜17時 月:休館日
メトロ:Mont-Royal
ウェブサイト:HP
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