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もともと先住民にとってタバコは「聖なる薬」と呼ばれるほど神聖なもので、祭事的な行為として喫煙をする習慣があったそうです。しかし、タバコがヨーロッパに広まると、焼成粘土で出来た安価なタバコ用パイプが大量生産されるようになりました。この焼成粘土製のパイプはすでにタバコが詰められた状態で販売され、火をつけて吸っていく度に長い柄の部分を少しずつ折って使用していたそうです。当時はタバコを全部吸い終わると、パイプはそのまま破棄されていたため「安価な使い捨て商品」という扱いだったそうです。Myreはロンドンで大量に生産され、廃棄されたパイプの破片を2015年にロンドンのテムズ川のほとりで偶然に発掘した事で、このプロジェクトの構想を思いついたそうです。 今回はギャラリー1階の展示スペース全体をフルに使って、Myreが実際に発掘したパイプを収めた写真作品や発掘したパイプの破片で作られたリース、パイプの破片のレプリカを使って製作された立体作品、オーディオで聴く、「先住民にとってのタバコの起源」に関する寓話作品など、計12点から構成されています。オーディオ作品は15分で、はじめはちょっと長いような気もしましたが、最後まで聞いてみるとこの作品展の中心といっていいほど重要なものだと感じました。この作品で語られる物語を聞いて初めて今回の展示のテーマの意味を理解できると言っても過言ではないでしょう。この展示を訪れた際は必ず最後までこのオーディオを聞いてほしいと思いました。 余談ですが、発掘された実際のパイプも展示されてはいましたが、個人的にはこれを大きく写真化した作品の方が、何か見ているものを引き込む「オーラ」をまとっているようで見応えがあったように思います。スケールの問題なのか、照明の問題なのかはわかりませんが、実物よりも魅力的に見せる事が可能なところが「アートの真髄」なのでしょうか…?非常に感慨深かったです。
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文/Text:畑山理沙/Risa Hatayama Photo: Courtesy of Art Mûr | ||||||
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