街路樹の緑が目にまぶしい今日このごろ。モントリオールにも漸く短い夏が訪れました。茹だるように暑い日はエアコンの効いた部屋で涼しく過ごすに限りますが、そうでない日は散歩に出かけ、色々な所を散策するのにもってこいの季節です。

 そんなこんなで、散歩がてら今回訪れたのは、地下鉄オレンジ線のLionel-Groulx駅に隣接されているParc Éphémère Rollande-Danis-Pelletier。この仮設公園は去年の6月に作られたもので、長年教育に携わり、このLionel-Groulx駅のあるSud-Ouest地区に貢献してきたRollande Danis Pelletierに因んで名付けられました。

 さて、このParc Éphémère Rollande-Danis-Pelletierで現在見ることができるのは、モントリオール在住のアーティストPhilippe Allardによる「Freiner la chute」という野外彫刻作品。この作品を通して、今深刻な問題になっている「アオナガタマムシ (agrile du frêne)」というアジア地域原産の外来害虫による、トリネコ科の街路樹への被害をSud-Ouest地区の住民に喚起を促すという目的があるそうです。 この作品は18本の大きな木製の四角い柱が敷地内に弧を描くように建てられているのが特徴です。柱は幾つかの角材を繋げて一本の四角い柱にしてあり、材料にはSud-Ouest地区でアオナガタマムシの被害によって伐採されたトリネコ科の街路樹など600m分が使用されているそうです。

 この「Freiner la chute」が去年の6月から長期にわたって展示されている作品ということもあり、 柱の表面が黒ずみ、ちょっと年季が入ってきている感じがしました。そのせいなのかはわかりませんが、作品の説明にあるように「ドミノの駒を立てるように柱を配置し、害虫によって木が倒れていく様」を表現したはずが、「放置された何かの櫓跡」を見ているかのような印象を受けてしまいました。全てを同じ柱で統一するのでなく、切り倒された木の形か何かをどうにか作品に取り入れるなどの工夫をすれば、視覚的にもう少し好奇心をそそる作品になったのかもしれません。作品の周りを歩き回っていた際に、偶然敷地内に生えている木にオレンジのスプレーで伐採の印が付けられているのを見つけ、扱われているテーマを肌で感じる事ができたのが唯一の救いでした。


文・写真/Text & Photo畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:Parc Éphémère Rollande-Danis-Pelletier
所在地:620, av. Atwater
スケジュール:終日
メトロ:Lionel-Groulx
ウェブサイト:HP
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