Revolutionary Song (2005) (c) Istvan Kantor
Black Flag (1998) (c) Istvan Kantor
Babylon (1994) (c) Istvan Kantor
 今回はちょっと趣向を変えて、 Vithèqueのオンライン展示のレポートをお送りします!

 今回取り上げるのは以前紹介したことがあるVidéographe というアーティストランセンターがホストしているVithèque。 VithèqueはVidéographeが所蔵しているビデオコレクションを有料で配信するサービスです。当初この環境を整えるのに想定外の費用がかかったため、一時Vidéographeの運営が傾きかけ、その存在が危ぶまれた時期もありました。こう言った事情からVithèqueはちょっと曰く付きの配信サービスと言えるでしょう。

 さて、今回Vithèqueでは、ハンガリー出身でトロント在住、2004年にはカナダ総督のビジュアル&メディアアーツ賞も受賞しているIstvan Kantor の『Istvan Kantor - Revolutions』というビデオプログラムを無料で視聴することができます。これはVidéographeが昨年出版した『Istvan Kantor - Video Anthology』という作品集から、7作品、計72分を厳選して構成されたプログラムです。作品の年代も80年代、90年代、2000年代とそれぞれの時代から選ばれているため、Kantorのアーティストとしてのキャリアと作品の進化を掻い摘んで見ることができるようになっています。

 美術館でのゲリラパフォーマンスなどで投獄されたことも数多くあるKantor。繰り返し出てくる作品のテーマは「技術崩壊」と「技術社会における個人の闘争」です。1956年に起きたハンガリー革命を自身が体験している事もあり、革命や反体制などといった言葉やシンボルを用いたり、モチーフにしたりした作風が特徴的です。今回のプログラムの中で個人的に一番印象に残ったのは 『Revolutionary Song (2005)』というミュージックビデオです。Kantorが1966年、当時16歳の時に、実父の住むパリを訪れた時の事をベースにした自伝的な歌で、2年後の1968年に起こった「5月危機」と対比するように、権力と反抗を皮肉とユーモアを交えて表現した作品となっています。

 なお、このプログラムは5月7日までVithèqueで視聴できます。視聴するにはVithèqueのアカウントを作る必要がありますが、このアカウントも無料で作れますのでご安心を。興味のある方は是非視聴してみてください!


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: With kind permission from DHC/ART
ギャラリー:Vidéographe
所在地:4550, rue Garnier
スケジュール:終日
メトロ:Mont-Royal
ウェブサイト:https://vitheque.com
ウェブサイト:www.videographe.qc.ca
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