新年最初のギャラリーレポートは旧市街から!

 今回訪れたのはDHC/ART Fondation pour l'art contemporain。だいぶ前に一度紹介した事がありますが、ちょっとおさらいすると、2007年に旧市街の一角にオープンしたプライベートの現代アート財団です。質の高い芸術を各国から持って来て展示すると言う目的と共に、国内アーティストの作品の展示、コミッション等のサポート事業を行う目的で活動を続けています。

 さて、2017年秋にちょうど設立10周年を迎えたDHC。今回のお目当ては、この10周年を記念してDHCの第二会場(465, rue Saint-Jean)で開かれている『Bill Viola: Naissance à rebours』という作品展です。Bill Violaと言えば、言わずと知れたビデオアートの先駆者的存在で、40年もの長きにわたって国際的に活躍しているアメリカ人アーティストです。今回の展示では、カナダでは初めての展示となるビデオインスタレーション作品、『Inverted Birth』(2014)の他、『Ancestors』(2012)、『Walking on the Edge』(2012)、『The Encounter』(2012)、 『Ascension』(2000)、『The Return』(2007)、 から構成されており、テーマは「生と死」、「誕生と再生」です。

 圧巻だったのは、会場の入り口を入ってすぐ右の部屋に展示されている『Inverted Birth』でした。4メートルを超える大きな縦長のスクリーンには、上半身裸の男性が漆黒のバックグラウンドを背に佇んでいます。その彼の体を包み込むように大量の液体が下から上へ登ってゆくのですが、その色は黒から赤へ、そして白へ変わり、最後は透明へと変化して行きます。その様はまるで天に昇る龍が男性を包み込み、浄化していくかのような印象を与えます。 映し出される映像と音の迫力に、只々息を飲み、時を忘れて見入ってしまいました。何か見ているこちらの魂も洗われていくような、とても力強い作品だったと思います。見終ってから少し放心状態になってしまいました。

 それから、もう一つ印象的だったのは、一番奥の展示室で見る事ができる『The Return』。漆黒の闇の中から音もなく、白黒の何かがこちらに向かって近づいてくるのですが、初めは画像がぼやけていて何が近づいてくるのかよくわかりません。途中でこのぼやけを作っている透明な「水の壁」を超えると同時に、音が生まれ、白黒がカラーに変わり、「近づいてくる何か」が「赤いドレスを纏った女性」だということがわかる趣向となっています。 まるで水の壁があの世とこの世を隔てる境界になっているかのような、そんな不思議な感覚を覚える作品となっていました。

 今回展示されている作品のどれも、まるで何か寓話や説話から一説だけを抜粋して、映像として場面を描いているかの様。前後関係は全くわからないのですが、それが逆に強みとなって、見る側の想像をよりかき立てている印象を受けました。

 この展示の他に、第一会場(451, rue St-Jean)でも10周年記念の「L’offre」というグループ展が開かれていますので、興味のある方はそちらも是非訪れてみてください。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: With kind permission from DHC/ART
ギャラリー:DHC/ART Fondation pour l'art contemporain
所在地:465, rue St-Jean
スケジュール:水〜金:12時〜19時 土・日:11時〜18時
メトロ:Square Victoria
ウェブサイト:HP
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