暦の上では大寒も過ぎ、一年のうちで最も寒いとされている時期に突入しましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 さて、今回訪れたのは、地下鉄Mont-Royal駅の迎いにあるLa Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal。以前も何度かご紹介したことがあるので覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、少しおさらいすると、 120年以上前に寄宿学校として建てられた建物を、モントリオール市がMaison de la Cultureとしてリニューアルオープンしたものです。市営図書館の奥に設けられたギャラリースペースでは、一年を通して様々な展示が開催されています。

 現在は、Abitibi出身のJennifer Lupienによる「Tableaux et C7 de Velours」という展示が開かれています。この展示では、シルクスクリーンとエンボス作品4点と、表面がベルベット調に塗装されたピアノ彫刻、ベロアのカーテンのサイトスペシフィック・インスタレーション作品を見ることができます。

 この作品を見ての率直な感想は、作品の意図と展示の仕方の矛盾にイライラするだけで、面白みに欠けるということです。まず、展示会場の入口を入ってすぐ右の隅に設置されたテレビで、作品について語るLupienのインタビューを見ることができるのですが、この中でLupienは「作品が展示室に置かれた時に、作品とそうでないものの境界線をぼやけさせること」と明言しています。ちょうど展示室の隣がコンサート会場となっているので、 黒いピアノや黒く長いカーテンなど、「音楽会場にありそうなもの」をモチーフにを使うことでこのことを実践しようとしたのでしょう。しかし、実際に展示室を見渡すと、作品の全てに煌々とスポットライトが当てられているため、展示室の入り口に入った時点でもう、「これは作品である」と認識を促しており、作品とそうでないものの境界線をぼやかすどころか、室内のオブジェ全てが大事な展示物であるという印象を際立たせていました。

 また、ギャラリーの受付の人の話によると、Lupienは来場者が作品を壊しかねないので、「作品には絶対に触れさせないようにして欲しい」、「特にピアノ作品の前ではくしゃみをさせないで」など、ギャラリー側に色々と注文をつけたそうです。しかし、作品に触れないように注意を促すサインや囲いの設置などを本人が拒んだため、 代わりに受付の人が来場者一人一人に展示物に触れないように注意しなければならなくなったそうです。壊れやすい作品なので、触って欲しくないという気持ちは十分に理解できますし、サインを置くことで作品の意図に影響を及ぼすと考えたのかもしれませんが、どちらを選択したとしても、展示室に置かれたものが作品であると言うことを際立たせるので、結局は「作品とそうでないものの境界線をぼやかす」という意図とは矛盾をしてしまうように思いました。であれば、初めから触っても大丈夫な素材にするとか、もっと違うアプローチをした方がもう少し面白い作品になったのかもしれません。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of La Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal
ギャラリー:La Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal
所在地:465, avenue du Mont-Royal Est
スケジュール:火〜木:13時〜19時 金〜日:13時〜17時 月:休館
メトロ:Mont-Royal
ウェブサイト:HP
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