今回のレポートはPlateau Mont-Royalから!

 皆さんはMouvement Art Mobile (MAM)をご存知だろうか?これは2012年にIsabelle Gagné, Erik Beck, Svenというアーティスト3人によって設立され、その名の通りモバイル機器を使って作品を製作することをモットーとして活動しているコレクティブの名前である。近年SNS上に出回っている膨大な量の素人写真、ビデオ、音楽などと、真の芸術作品との違いを見出すという事を目的としているそうだ。

 今回Avenue du Mont-Royal周辺で開催されているのは、設立者である3人と、その他のメンバーであるClaire Burelli, Marc Cinq-Mars, Denis Dulude, Luc Girouard, Sophie Lambert, Mana, Geneviève Massé, Claudine Sauvé, Patrick St-Hilaire, Jean-Yves Fréchetteが参加している野外写真展。スマートフォン、タブレット、ドローンなどの機器を使用して作られた作品のみが展示されている。「Mains libre Photographie Mobile」と題されたこの展示では、 作品のパネルが40個近く、地下鉄Mont-Royal駅からAvenue du Mont-Royalを東に進む歩道とその周辺に設置されている。作品は人物、景色、コラージュなど多種に及ぶ。天気の良い日に散歩がてら見てまわるのに打って付けと言った感じだ。

 残念なことに、この展示を見ていて浮かんでくるのは批判と疑問だけ。題名にも謳われている通り、「Mobile」という言葉がキーワードのようで、「モバイル機器を使用して作られた」という事がどのパネルにも記載されているのだが、あいにく「モバイル機器」自体に視覚的に感じられる「風合い」のようなものが存在するのかすら不明なため、「モバイル機器を使用して作られた」とわざわざ記載することに何の意義があるのか不明だ。その上、スマートフォンやタブレットに搭載されているカメラの機能が高性能化されて、普通のデジタルカメラを使って撮影した写真と比べてどこまで違うのかがわかりにくくなってきている昨今、そもそも「モバイル機器を使用した」と言うことに何の意味があるのか?思わず「iPhone 6で撮影」という記載が必ずある、iPhoneの広告を思いださずにはいられなかった。 また、コラージュのように加工された作品においても 「モバイル機器を使用」したと言う事で、作品の芸術性が変わるような要素は、正直なところ一つも見受けられず、何もかもが中途半端に感じられた。「Mobile」ということを謳い文句にしているにもかかわらず、現代社会でのこのモバイルという言葉の意味やこれに対する問題提起や探求という姿勢を感じられなかったため、このMouvement Art Mobileというものの存在価値をも疑ってしまった。残念ながらこれではただ単に流行の機械を使って、それぞれが好きな作品を作っただけにしか見えない。これではモバイル機器の宣伝と変わらない。彼らに一度問いかけてみたい。芸術性と言うものが単純に使う道具で決まるとでも言いたいのか?それともただ単に同じモバイル機器を使っても、自分たちは素人と違うとだけ言いたいのか…?

 彼らは一体何がしたいのだろうか?


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:Mont-Royal周辺
所在地:Mont-Royal周辺
スケジュール:終日
メトロ:Mont-Royal
ウェブサイト:HP
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