日陰に有った雪もすっかりなくなり、街路樹の新芽が春を待ちわびたかの様に膨らみ始めた近頃のモントリオール。ようやく心地よい日差しの中を散歩するのが楽しい季節となりました。

 さて、今回訪れたのは、地下鉄Mont-Royal駅の迎いにあるLa Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal。以前もご紹介したことがあるので覚えていらっしゃる方も多いかと思いますが、元々は1896年に寄宿学校として建てられた古い建物を、モントリオール市が36年前にMaison de la Cultureとしてリニューアルオープンしたものです。 図書館に併設されているギャラリースペースでは、一年を通して様々な展示が開催されています。

 現在は、地元モントリオールの写真家Yves Choquetteによる「Ma vie est un bunker」という写真展が開かれています。この展示では2014年に始まったウクライナ内戦で故郷を追われた人々が、冷戦時代に造られ、今は廃墟となっているコンクリート製のシェルターで暮らしている様子と、前線で戦うウクライナ軍兵士達を記録した写真、計30点余りをみることができます。

 シェルターの写真はMarynkaとPetrovskyという、ウクライナのドネツク州の小さな街で2015年に撮影された写真だそうです。若い男性は前線で戦っているのでしょうか?写真に写っている避難民の多くは女性や小さな子供がほとんど。電気はかろうじて通っているそうですが、水道設備が無いため、人道支援を行うNGO組織によって供給されるそうです。壁の塗装がはがれ堕ち、かなり老朽化が進んでいる事が写真から良く伝わります。住み慣れた家を失ったり、離れざるを得なかった人々が、この劣悪な 環境のシェルターで、身を寄せあっている様子が伺えます。カメラに眼を合わせていない写真や何処と無く不安な表情を収めた写真が多く、彼らがいつも怯えて暮らしているという印象をより一層強めていたと思います。これとは対照的に、前線で戦うウクライナ軍兵士の写真の方は、正義感や信念に満ちあふれたかの様な、 眼光の強い若い兵士達が多く写しだされているのが印象的でした。全体的にみて、どの写真も明暗が強で有る事も有り、観ている側に現地の張りつめた緊張感や悲壮感と言ったものがひしひしと伝わってきました。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of La Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal
ギャラリー:La Maison de la Culture du Plateau-Mont-Royal
所在地:465, avenue du Mont-Royal Est
スケジュール:火〜木:13時〜19時 金〜日:13時〜17時 月:休館日
メトロ:Mont-Royal
ウェブサイト:HP
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