温暖化の影響か、例年よりも暖かく、比較的過ごしやすい日が続くモントリオール。お陰で何処と無く冬らしさに欠け、季節感が狂ってしまいそですが、マイナス20度の日が何日も続くよりは断然こっちの方が良い!と考えると、こんな暖かな冬がたまに有っても良いのかもしれません。

 さて、今回訪れたのは、地下鉄Frontenac駅の直ぐ横にあるLa maison de la culture Frontenac。以前もご紹介しましたが、1989年の設立以来、地域住民への文化や芸術の普及を目的に、多種多様な催し物を開催している場所です。正面玄関を入って、真っ直ぐ突き当たりまで進むと展示室が2つあり、それぞでStudio 1Studio 2という名前がつけられています。

 今回注目してみたのは、Studio 2で開かれている「Double appartenance」という写真展です。これはモントリオール在住のDarren EllPhilippe Montbazet2人の写真家によるコラボレーション作品で、カナダに最近移民して来た人たちのそれぞれの事情がテーマとなっています。この作品に協力したのは市内Côte-des-NeigesにあるCentre Pauline-Julienというフランス語学校に通う移民たちです。この展示は、彼ら生徒一人一人の肖像写真、文章として書き起こした彼らへのインタビュー、そして、風景写真の3つの要素から構成されています。肖像写真は背景が黒で統一された上にドラマチックな照明が特徴的で、まるで古典的な肖像画を彷彿とさせます。一人一人の表情がとても豊かで、インタビューを読まなくても色々な話しを想像させる力強さがありす。ただ残念だったのは、インタビュー文章をまとめた冊子が展示室の中央にワイヤーで固定されている為に、写真を近くで鑑賞しながら文章を読めないと言う点が一つ。入り口付近に一つだけ持ち運べるコピーがありましたが、これでは数が足りない印象です。家庭内暴力、貧困、迫害、戦争など、様々な事情で移民をして来た生徒達の声を広く知ってもらう折角の機会なのですから、もう少し観る側への配慮が欲しかったと思います。もう一つは、肖像写真の間に所々設置されている風景写真の存在価値を余り見い出せなかったと言う点です。仮に肖像写真だけで構成して、展示全体が重苦しくなるのを防ぐと言う意味が有るとすれば、これは成功している印象です。しかし、仮にそうだとすると肖像の生徒達と風景写真の関連性は無いわけですから、単なる穴埋め的な印象を与える気がしますので、ここはやはり何らかの形で生徒達と風景写真の関連性を明記して欲しかったと思います。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:La Maison de la Culture Frontenac
所在地:2550, rue Ontario Est
スケジュール:火〜木:13時〜19時 金〜日:13時〜17時 月:休館
メトロ:Frontenac
ウェブサイト:HP
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