今回のギャラリーレポートはGalerie d'Art d'Outremontからお届けします。

 まずGalerie d'Art d'Outremontについてですが、もともと1993年に設立されたプライベートギャラリーを、5年後の1998年に地域に新しく設立されたBibliothèque Robert-Bourassaの建物の一角に移設されたものだそうです。このためGalerie d'Art d'Outremontは現在、各地域の市立図書館に併設されているMaison de la Cultureの括りに入っていて、他のMaison de la Cultureと同様に一年を通して色々な作品の展示や、その他のイベントを開催しているそうです。ただ、他のMaison de la Cultureと異なるのは、プライベートギャラリーだった過去を持つGalerie d'Art d'Outremontに特別な権利が与えられており、展示中の作品の販売活動を行えると言う点です。

 さて、気になる展示はと言うと...現在、開催されているのはShawinigan出身のJosette VilleneuveEn découdre du monde」。Villeneuve1996年から2015年までに制作したインスタレーション作品5つを集めた展示となっていて、グローバル化、地球規模の物流、そして文化の統一化等がテーマとの事です。

 率直な感想をのべると、素材の選択が際立つ作品展で、全体的にも非常にカラフル。近くからみても遠くから見ても楽しめる作品展になっていると思いました。数年前にバングラデシュで起こった縫製工場の崩壊事故が記憶に新しい事も有り、洋服のブランド名の書いたブランドタグを素材として使用していた4つの作品は感慨深いものがありました。使用されている無数のタグは、全てリサイクルショップに頼んで切り取って貰った物だそうです。私たちの日常にありふれた素材ですが、作品の中に見る事が出来るブランドのタグが、発展途上国の過酷な労働条件などを連想させ、この展示のテーマにぴったりの素材だと思いました。4つの作品の中でも、タグを世界地図のように作り上げた「Un monde à raccommoder」と言う作品が、いま世界中を席巻しているファストファッションを象徴していてとても印象的だったとおもいます。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:Galerie d’Art d’Outremont
所在地:41 avenue Saint-Just
スケジュール:火〜金:13時〜18時 土・日:13時〜17時 月:休館
メトロ:Outremont
ウェブサイト:HP
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