今回のギャラリーレポートはMaison de la culture Côtes-des-Neigesから!

現在Maison de la culture Côtes-des-Neigesでは2つの展示会が同時進行している。その中でも今回のお目当ては建物一階で開かれている「Je suis là」と言う写真展。小児科医Dr.Julienが設立したFondation du Dr. Julienという、「社会小児医療」を行なっている団体が主催したプロジェクトの様子を展示したもの。この「社会小児医療」と言うのは、子供達の健やかな成長を医療と子供達が置かれている様々な環境や地域社会の問題の改善の両方から取り組む事を言い、Dr. Julienはその第一人者である。

さて、そのプロジェクトの内容はと言うと、今年の夏にcentre de pédiatrie sociale en communauté de Côte-des-Neigesの9人の子供達が5週間に渡り音楽や視覚芸術などの様々な創造・自己表現活動をし、その活動を通して、地域に自分たちの存在を知ってもらうと言う目的で行なわれたそうだ。展示室(と言うよりは一階の廊下)には子供達がつくった作品の写真、子供達が自分の作品と共に写っている肖像写真、そして製作中の子供達の様子を写した記録写真から成り立っており、子供達がどのような表情でこのプロジェクトに参加していたかを垣間みることができる。「良い表情の写真を選んで構成した」と言った多少ひねくれた見方も勿論出来るかもしれないが、沢山の笑顔や輝く瞳を見ていると創造活動がそれぞれの参加者になにかしら良い影響を与えていたのではないかという良い印象を受ける。

 ただ残念ながらこの展示されている作品の芸術性という点においては、羅列されている写真の見た目が奇麗な否かを判断するにとどまり、現代アート、とりわけコミュニティー・アートと言う分野に何か新しく貢献しているとは感じ難い気がした。正直なところFondation du Dr. Julien の事とこのプロジェクトの内容を熟知している参加者とその家族のみが楽しめる展示になっていたような気がし、この団体の存在も活動内容も知り得ない人たちはちょっと蚊帳の外と言った印象を受けた。そして、この展示に脚を運ぶ予備知識の無い人に何か発信するには、たった13枚の写真では物足りない気がして止まなかった。統一されている写真の大きさや額を変えて、プレゼンテーションの仕方をもっと工夫したり、写真以外の要素も積極的に織り込んで、もっと捻りの利いた展示にする工夫をして欲しかったと思う。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:Maison de la culture de Côte-des-Neiges
所在地:5290, chemin de la Côte-des-Neiges
スケジュール:火〜水:13時〜19時 木〜金:13時〜18時 土〜日:13時〜17時
メトロ:Côte-des-Neiges
ウェブサイト:HP
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