展示の様子
展示の様子
Huntress (2013) Osvaldo Ramirez Castillo
Soledades/Solitudes no.8 (2014) Estela López Solís
 今回のギャラリーレポートはSalle de diffusion de Parc-Extensionからお届けします!

De ma mère et de ma terre: Fertilité, transplantation et mort dans la création d'artistes immigrants d'Amérique latine」と名付けられたこの作品展は、文字通りラテンアメリカ出身の移民アーティストの作品を集めたグループ展で、2009年から毎年開催されているFestival LatinArteの一環として開かれています。参加アーティストはHelena Martin Franco(コロンビア)Estela López Solís(メキシコ)Osvaldo Ramirez Castillo(エルサルバドル)Mariza Rosales Argonza (メキシコ)の4名で、ビデオ、ドローイング、写真、コラージュなど、様々なジャンルの作品を集めた作品展となっています。

 出身国やカナダへ渡った経緯、そして滞在年数はそれぞれ異なりますが、全員「移民体験」と言う共通点を持っており、度合いや形は様々ですがこの体験がそれぞれの作風に何らかの影響を及ぼしていると言う事は言うまでも有りません。中でもそれが顕著なのがRamirez Castilloの作品ではないでしょうか。彼の場合は幼くして母国で起こった内戦の影響でカナダに来たという経緯もあり、ラテンアメリカ的なカラフルな色使いが多いドローイング作品からは、幼い頃に体験した「狂気」「死」「恐怖」「残酷」と言ったものが明確に感じられ、移民した以降もどれだけ彼の人生に影響を及ぼしたかを垣間みることができます。その一方で 、カナダに来て未だ間もないLópez Solísの作品には、例えば母国の文化とカナダの文化の比較であったり、過去の自分の体験を表現する心の余裕のようなものは未だ感じられませんが、カルチャーショックの中での疎外感や孤立、戸惑いといったものをひしひしと感じ取ることができました。

 自分の原点の多くを占める母国の文化や生活習慣、また様々な過去の体験と言うものは、何処に居ても付いて回るものですが、異文化の中でいわゆる少数派として生きて行く上でこれらは埋もれていってしまったり、時には明確に決別したい部分であったりと、かなり複雑でデリケートな部分でもあります。しかし一旦クリエイティブな活動を介すと、それらは顕著に作品に現れてくるもの。この作品展に参加している4人のアーティストも、それぞれの活動を通して移民体験から来るアイデンティティーの揺らぎや過去の様々な事に向き合っているのだと思うととても感慨深かったです。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:Salle de diffusion de Parc-Extension
所在地:rue Saint-Roch
スケジュール:水:13時〜18時、木〜金:13時〜18時、土〜日:13時〜17時
メトロ:Du Parc
ウェブサイト:HP
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