色あせた木々の葉が舞い降り、寒々とした街路樹が曇天の空を背に佇む初冬のモントリオール。ついつい寒さに肩をすくめて早足で歩いてしまう事が増える季節がまたやってきましたが、こんな気候だからこそ暖かい室内でアート鑑賞して、しばし心の緊張をほぐすのも良いものです。

 と言うことで、今回、訪れたのは地下鉄Rosemont駅から徒歩5分程度の所に有るL'Artothèque。企業や病院など、日頃アートとは縁のない色々な場所や施設に低価格で絵画やドローイングなどの平面作品や彫刻作品などを貸し出す活動を通して「芸術の民主化」を促す事を目的とした公共の組織だそうです。私自身も今迄L'Artothèqueについて何も知らなかったのですが、実はもう設立されてから20年近く経つそうで、以来、実に千人を超える作家の作品が集められており、その数は5千を超えるとの事です。

 さて、このL'Artothèqueにはコレクションを保管している部屋の他に展示スペースが有り、定期的にコレクションの中の作品を展示していると言う事ですが、今回は初の試みとして、公募で選ばれたケベック州に縁のある若手アーティストの作品が展示されています。「À l’intérieur du cabinet de curiosités」(直訳すると「珍品陳列室の中」)と題されたこの作品展にはHelena Vallèe Dallaire, Elizabeth Brouillard, David Ross, Valérian Mazataud, Narges E. Esfahani, Ian Langohr, Mika Goodfriend, Jorge Garcia et Nancy Ménardの9人の作家が参加しており、写真、彫刻、インスタレーション等様々なジャンルの作品展示を観ることができます。

 中でも個人的に気に入ったのはIan Langohrの「Factory Face」と言う緩衝材や布等で創られたマスクで、その名の通り古い工場がモチーフとなっています。「工場」がモチーフと言うと重厚感や重圧感等を連想されると思いますが、この作品では工場が漫画やイラストから飛び出して来た様な丸みと質感が有るため、仕上がりは何処かポップ。壁や屋根上のタンクには落書きが施してあったりと、細部にまで強いこだわりが感じられます。その上、実際にその場で手にとって被ってみることができるという楽しい作品でした。

 親切なスタッフの方の話では、今回のこの展示を期にL'Artothèqueを将来的には美術作品の貸し出し部門とレジデンスなどが出来るアトリエ部門を確立させていく方針のとの事なので、今後どのように発展していくか、これからも注目していきたいと思います。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:L'Artothèque
所在地:5720, rue Saint Andr5720, rue Saint André
スケジュール:水〜金:12時〜19時、土:11時〜17時
メトロ:Rosemont
電 話:514-278-8181
ウェブサイト:HP
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