今回のギャラリーレポートはPlateau Mont-RoyalにあるVidéographe Micro Galleryからお送りします。

 先ずは今回の展示が開かれているVidéographeですが、ビデオアートの普及を目的に カナダ国内で最初に創られた40年以上の歴史を持つアーティストランセンターです。以前は制作のサポート、配給、展示等の部署に分かれ、モントリオール市内に分散して運営されていましたが、時代の流れと共に消費者用ビデオカメラが広く普及し、さらにパソコンの普及によって自宅で手軽に編集ができるようになった事で、センター自体を利用する人数が減少し、状況を打開する為にビデオアートだけでなくインタラクティブな作品も扱う為の実験室の設立に力を入れた時期もありましたが志半ばで挫折。そしてつい数年前、起死回生を賭けてオンラインビデオアートを有料配信する環境の開設を進めましたが、予定以上の費用がかかって出費がかかさんだ結果、とうとう運営が行き詰り、一時はその存在まで危ぶまれましたが、センターの規模を縮小し、新しいディレクターを迎えて継続する運びとなりました。現在では以前から有った3つの部署をひとまとめにし、制作部が入っていたPlateau Mont-Royalの住宅地一郭にある建物内でワークショップや機材のレンタル等を中心に、こじんまりと運営されています。そんなVidéographeに今年の8月にお目見えしたMicro Galleryは窓の一部を利用して出来たショーウィンドーの様な展示スペース。建物の外から見る趣向なので、24時間作品を楽しむことができます。

 さて、気になる展示の方ですが、現在はVidéographeとサスカチュワン州都レジャイナにあるアーティストランセーンターNeutral Ground及びその付属機関Soil Digital Mediaとの新しい提携プログラム「La Nouvelle Terre」という、レジャイナ出身、またはレジャイナに縁のあるアーティスト及びNeutral GroundSoil Digital Mediaのメンバーの作品をモントリオールに広めるというプログラムで招待されたアーティストLoretta Paoliによる『de la Nazione』と言うビデオ作品が展示されています。文章が一つの言語から違った言語に翻訳される過程で生じる矛盾や誤解をテーマにした作品で、作家自身の先祖で、18世紀にフランス領コルシカ島で勃発したコルシカ独立戦争の指導者であるパスクワーレ・パオリが1755年に制定したコルシカ憲法を基にした作品です。

 建物一階の道路に面した窓の一廓に設置されたこの作品は、二つの小さな丸い覗き穴から見る仕掛けとなっていて、左に古いイタリア語の方言で書き記されたオリジナルのコルシカ憲法、そして右側に英訳されたものがそれぞれビデオとして映し出されますが、残念ながら英語の翻訳の方は分かっても、原文がわからない私にとっては「翻訳肯定で生じる矛盾」と言われても解釈し様がありませんでした。それから未だ日の高いうちに展示を訪れたせいもあり、目の前のガラスにまわりの景色が反射してしまって残念ながらビデオを見るにはちょっと不適切。しかも周囲の音も無音のこのビデオとちょっとミスマッチな感じもしたので、少し暗くなってからの方が集中して落ち着いて作品鑑賞出来るのではないかと思いました。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
ギャラリー:Vidéographe
所在地:4550, rue Garnier
スケジュール:終日
メトロ:Mont-Royal
電 話:514-521-2116
ウェブサイト:HP
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