今回のギャラリーレポートは、ダウンタウンのMcGill大学の直ぐ側にあるLoto-Québec内のEspace Créationから!

 このEspace Créationは、宝くじの販売やカジノ等の運営を司る法人機関Loto-Québecの建物内のギャラリースペースで、現代アートを普及させるという目的で1979年に発足されたLa Collection Loto-Québecという作品購入プログラムのもとに集められた4500を超えるケベック在住作家の作品コレクションの中から、毎回違ったテーマに沿って厳選された作品等の一般公開をしているスペースです。

さて、現在公開されているのは「Les territoires imaginés」という移動グループ展。大小二つ続いた展示室にはLa Collection Loto-Québecの中から67作品を「祖国」をテーマに選び、多種多様な平面と彫刻などの作品が所狭しと展示されています。「祖国」と言うと何となく愛国心の表現や、哀愁の漂う風景絵等を思い浮かべがちですが、ケベックを代表する若手作家・脚本家・歌手であるFred Pellerinの詩が展示室の入り口で語りかけるように、今回のこの展示ではそれそれの作家の作品から「祖国」と言う色々な世界観を解釈するのかが面白い展示となっています。例えばMario Faubertのようにケベック州北部にあるニュー・ケベック・クレーターを航空撮影した写真作品からは実際に存在する風景から想像出来る「祖国」がある一方で、David Altmejdの人間の手が鶏の型を形成す不思議なブロンズ彫刻のように作家の想像の世界を「祖国」と解釈させるような作品もあり、なかなかバラエティに富んでいて、観ごたえのある作品展となっています。

 当初は4月17日から6月23日迄の展示でしたが、人気の展示と言うこと事で8月18日まで延期が決まったとのことです。モントリオールの後はSherbrookeSaint-JérômeRouyn-Noranda、そして最後にVal-d'Orと、州内各地をまわる計画です。余談ですが、展示を訪れた際に貰えるパンフレットの表紙に「取り外せる紙製の葉っぱ」が付いており、説明を読んでみると実はこの展示と平行して行なわれる緑化プロジェクトの一環で、展示が廻る各地を緑化していこうという試みだそうです。じつはこの紙の繊維の中にポピー、クローバー等の植物の種が仕込まれていて、来場者に植えて育ててもらう洒落た試みですので、来場の際には忘れずにパンフレットを貰って来て下さい!


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of Loto-Québec
ギャラリー:Espace Création
所在地:500, rue Sherbrooke Ouest
スケジュール:水〜金:11時〜18時 土〜日:12時〜17時
メトロ:McGill
電 話:514-499-5087
ウェブサイト:HP
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