Photo: Michel Huneault
Photo: Michel Huneault
Photo: Valérian Mazataud
 厳しい寒さが続き、冬眠する動物達や暖かい越冬地へ移動する渡り鳥達がついつい羨ましく思える今日この頃ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

 2011年の秋にオープンしたLa Maison du développement durableSainte-Catherine通りにあり、以前ご紹介したGalerie VOXが入っているLe 2-22 とThéâtre du Nouveau Mondeの丁度中間当たりに位置する5階建ての近代的な建物です。「développement durable」つまり「継続可能な開発」という名の通り、環境を破壊せずに持続して資源を利用できる開発を提唱し普及する為に、8つの団体が集まって設立した環境に優しい建物です。それを象徴するかのように一階入口にある吹き抜け天井となっている開放的なロビーのつき当たりには、青々とした大きな植物の壁が訪れた人々を出迎えてくれます。

 さて、このロビーでは現在、地元モントリオールに本拠地を置いて世界各国で開発援助などの活動に携わって来たという活動家兼新進気鋭の報道写真家Michel HuneaultのLa mémoire de l'eauという写真展が開催されています。今回この写真展のテーマとなっているのが地球温暖化とその影響で世界各地で年々増え続け、甚大な被害をもたらしている様々な自然災害。一昨年の春にケベック州南部を襲った洪水を題材として、被害を受けた町の一つ、人口1500人程の小さな町Venise-en-Québecで撮影された写真が展示されています。ガラス張りの壁に整然と並べられた約20組の写真には、左側に一貫して洪水のさなかの町の様子、そして右側に同じ現場のその後の様子が並列に展示されていて、被害の様子とその後の現場を比べてみる事が出来ます。

 水に被われた町の風景を見ると、どうしても東日本大震災で無惨に壊滅された小さな漁村の光景が脳裏に浮かぶのは日本人だからなのかも知れません。(余談ですが、Huneault氏自身も東日本大震災で甚大な被害に見舞われた宮城県石巻市に昨年赴き、ボランティア活動をしながら被災地の現在の様子を記録した経験が有るそうです。)災害の種類も規模も違いますが、迫り来る水の恐怖と自然の力の前ではあまりにも無力な人間との対比と言う点では共通する物が多いと思いました。そして個人的ここで驚かされたのは、水に浸かった状態の写真とその後の写真を比べてもあまり景観が変わっていないという事。壁が塗り替えられたとか小さなガレージが無くなったなどの多少の変化は見受けられましたが、基本的には町の光景があまり変わっていないので、きっと何事も無かったかの様にそこに住み続けるのだろうと推察される事です。災害に見舞われた土地になお住み続けると言う姿勢は、津波で壊滅状態となった町に、危険を承知で先祖代々受け継がれて来た土地に愛着を抱きながら、なお住み続ける被被災地住民を思い起こさせ、あらためて自然と人間の共存の難しさを考えさせられた気がします。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of La Maison du développement durable
ギャラリー:La Maison du développement durable
所在地:50, Sainte-Catherine Ouest
スケジュール:月〜金:10時〜18時 土・日:10時〜16時
メトロ:Saint-Laurant
電話:514-394-1108
ウェブサイト:HP
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