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今回足を運んだのは、ダウンタウンのL'édifice Belgo5階にあるGalerie SAS。2002年に出来た、カナダとフランスの若手〜中堅アーティストの作品を扱っているプライベートギャラリーからお届けします。 現在開かれているのは「Fenêtre sur cour」というグループ展。参加しているアーティストはPatrick Bérubé、Catherine Bolduc、Eric Cardinal、Laurent Craste、Carlito Dalceggio、Marc Dulude、Fred Laforge、Peter Gnass、Véronique La Perrière M.、Karine Payette、Damian Siqueirosで、ギャラリー専属のアーティストとそうでないアーティストも含めて総勢11人となっています。それぞれが現在制作途中の作品を展示しているため一環としたテーマは無いのですが、作家の制作プロセスを垣間みることができると言う意味では面白い展示となっていると思います。 その中でもひと際目を引いたのがフランス出身のLaurent Crasteの「EUNUCHOVASOCÉPHALE」と言う作品。普段は磁器を使った作品を多く手がけている作家ですが、この新しい作品では裸の男性がユーモラスな形の磁器のマスクの様なものを被って白を背景に立っているという白黒写真を出品しています。「ヌード」と言うと一般的に「性的」なものと言う連想をしてしまいがちですが、それを覆すかのようにこの作品の中ではその「性的」な部分が陰部を股の間に隠し込む事で中和されていて、タイトルに有る通り「EUNUCH」即ち「去勢された男性」と言う意味合いも含めて、男性の「中性化」や「曖昧さ」と言った意味合いを生み出す事に成功しているように見受けられました。更に、タイトルからもう一つ分かるのは、ギリシャ神話に出てくる美男ケファロス(Céphale)へも言及していると言うこと。これは頭を隠す事によって「美しさを失った」と言わんとしているのでしょうか?それとも頭を磁器のマスク被う事によって古来から男性らしさの象徴とされている「理性」や「知性」を不能にし、さらに去勢する事によって、滑稽で不能な男性像でも作り上げようとしているのでしょうか?...意味深です。想像は勝手に膨らみます!この先どういう作品に仕上がって行くのか、続きがはやく観たい!と思わせる作品でした。
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文/Text:畑山理沙/Risa Hatayama Photo: Courtecy of Galerie SAS | |||||||
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