あんなに暑かったモントリオールの夏も次第に去り行き、朝晩の気温もだいぶ涼しくなってきました。まだ街路樹の葉の色は変わって来てはいないようですが、確実に秋の気配が感じられる今日この頃です。

 さて今回ご紹介するのは、ダウンタウンのBerri-UQAM駅直ぐそばのÉmilie-Gamelin公園で開かれている屋外写真展「Privacy」です 。イタリア、ローマ出身で現在はモントリオール在住の写真家Leda Monterealiによる作品展で、今年で54回目を迎えるヴェネツィア・ビエンナーレのイタリア館でイタリア統一150年を記念して開催中の海外で活躍しているイタリア人アーティストを集めたグループ展にもこの作品を出展しているそうです。

 Émilie-Gamelin公園の南側の歩道に設置された大きな11枚のパネルから構成されていている展示の一枚一枚には、様々な家の窓から垣間みた、その家ならではの日常ドラマ(フィクション)が映し出されています。2007年から制作を続けていると言う言うこのプロジェクト「Privacy」は「家」と言う本来ならば閉ざされた個人的な空間をモチーフにすることによって、公共のスペースとプライベートのスペースと言う定義を曖昧にさせる意図があるとのことです。テーマとしては案外ありきたりですが、どの写真も同じ時間に、人工的な光を使用せず、夕暮れどきのかすかな光を利用して長時間露光で撮影されたと言うことも奏して、夕暮れ時に通りすがりの人が他人の家の様子を横目にしているだけのような視線でいて、どことなく覗き見趣味の視線のようでもあり、何とも言えないこの距離感が絶妙な作品。流石、パートナーと共にファッションや広告の写真(例:Molson Dryのポスター)などもこなす写真家とあって、作品自体の完成度はかなり高いと思いました。

 ちなみに、主催者側であるLe Mouvement Art PublicLe Quartier des spectacleにこの作品展に関しての苦情が寄せられていると言うことを聞きましたが、個人的には作品の設定がフィクションと言うことだし、流血しているとか言うわけでもなかったので、そこまで違和感はありませんでしたが、確かに家庭内暴力や児童虐待などを彷彿とさせる場面も有ったので、もしかしたらそう言った表現を公共の場で発表することの適切さを巡っての苦情だったのかもしれません。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
場所:Parc Émilie-Gamelin
所在地:Rue BerriとSte-Catherineの角
スケジュール:終日
メトロ:Berri-UQAM
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