駅から出て公園の砂利道を真っ直ぐ進んで行くとÉric Laplanteの「Sous-œuvres」が見えてきます。
テニスコート脇の小さなスケートパークの近くから始まるDesrissieauxの「Sentier Frontalier
このパネルの脇の小道を入ると...
のどかな風景が見られるかもしれません。
 青葉が生い茂るコットンウッドの並木から柳絮(りゅうじょ)が雪のように舞い始めると、モントリオールにもいよいよ短く暑い夏が訪れます。

 夏の日差しを浴びながら今回レポートしてきたのは、モントリオールのお隣のLaval市にある唯一のアーティスト・ラン・センターLa Galerie Verticale Art Contemporain。今年で発足10年を迎えるこのセンターが催しているのは、モントリオール北西にあるBlainvilleの出身のÉric Laplanteによる「Sous-œuvres」と、モントリオールから車で東に2時間弱走ったSherbrooke出身のJacques Desruisseauxによる「Sentier Frontalier」という作品展です。しかし今回の展示、実は「hors mur」と言う特別野外展示プログラムの一環であるため、センター内の展示室ではなく地下鉄オレンジ線のCartier駅(bvd Cartier出口)にある「Parc Rosaire-Gauthier」と言う公園で開催されています。

 当初、現地にこの展示を知らせるポスターなどが余りにも少ない為、作品を探すのにちょっと手こずりましたが、公園の中に入ってテニスコートの脇を進んで行くうちに、緑の芝生の上に木製の枠組みというかジャングルジム状の物体が見えてきました。立て看板がもっと先にあったので近寄ってみて見てやっと、これがÉric Laplanteによる「Sous-œuvres」と言う作品だと言う事が分かりました。再利用した資材を使って作り上げたアンチ・モニュメント(注:石や金属などの屈強な素材を使って造るモニュメントに対抗して、耐久性に欠ける素材で造るモニュメント。儚さなや心の移ろいなどに重点を置く)だと言う事ですが、石などに比べて耐久性の弱い木材でできているという事以外には、素材自体の色や状態がさほど劣化している物でもなく、いまいち作者の言わんとするアンチ・モニュメントと言う主旨が伝わってこない作品のように感じられました。

 一方のJacques Desruisseauxの「Sentier Frontalier」は、公園内のサイクリングロード沿い6カ所に点在しています。道路標識や標語、看板などを彷彿とさせるパネルを造る事よって、この公園の鬱蒼とした部分を表していると言う事です。個人的には書かれた言葉も描かれた絵なども淡白で、特にこれと言ってインパクトも感じられなかったのでちょっと残念に思いました。余談ですが、仏陀が座禅を組んでいる様なものが描かれたパネルの脇のフェンスを通り、小道を入ってみるとカモが池で泳いでいたり、のどかな風景が広がっているので、散歩がてら、ちょっと水辺を散策してみるのにはもってこいな場所だと思いました。

 この二つの作品を総括すると、どちらの作品も期待していたよりもちょっと物足りないいように感じられましたが、もしかするとこれは、周りの環境や状況も上手く取り入れて作り上げ無ければいけない野外展示の難しさの現れなのか?と思いました。広い公園なのでたった2人の作品だけでなく、あと数人の違った作品もあれば全体的にもう少しダイナミックな展示になったかもしれません。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: La Galerie Verticale Art Contemporain
ギャラリー:La Galerie Verticale Art Contemporain
所在地:397, boul des Prairies, Laval
スケジュール:月〜金:9時〜17時
メトロ:Cartier(駅からバス20−24番もしくは63番に乗り、l'avenue Dussaultの角で降りる)
電 話:450-934-6042
ウェブサイト:HP
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