Gris haut-de forme
Gris haut-de forme
Douceurs et accomplissements
Douceurs et accomplissements
Douceurs et accomplissements
 街からようやく雪が消え、家々の前庭にクロッカスやスミレの小さな花が咲き始めた今日この頃。まだまだ天候が不安定で春本番とはいきませんが、新しい季節の訪れや草花の芽吹きと共に、街が希望に満ち溢れた新緑で覆われる日もそう遠くはないでしょう。

 さて今回訪れたのは、ダウンタウンにあるLes Impatientsと言うアートスペース内のギャラリー。実はこのLes Impatients、ただのアートスペースではなく、ここで開かれる様々な無料ワークショップに参加した精神疾患患者さんたちによってつくられた作品を展示している特別なスペースで、アートと言う表現方法を通じて治療の手助けをする、「芸術療法」を目的とした場所なのです。手順としてはまず、参加希望者が医師の意見を参考にしてワークショップを選びます。次にセラピストや現役アーティスト等の指導のもとに開かれたワークショップの中で製作し、最後にその集大成をLes Impatientsのギャラリーで発表すると言った流れです。そして現在見ることができるのは「Gris haut-de forme」 と 「Douceurs et accomplissements」という題の2つの展示会です。

 まず「Gris haut-de forme」の方ですが、Pierre Bellemareのワークショップ参加者による作品の展示で、灰色のフェルトで制作されたオリジナリティー溢れる帽子、その制作行程の写真と、映画「フェリーニのローマ」のパレードの一幕に影響された参加者が自ら作品を被り仮装行列をした際に撮られた写真とビデオから構成されています。写真に写された参加者の表情からは、喜びと達成感を伺うことができ、このワークショップが彼らに与えた影響の大きさに感銘を受けました。

 「Douceurs et accomplissements」の方はElmyna Bouchardによるワークショップの成果で、昨年末に亡くなったフランス人作家Louise Bourgeoisの布地を用いた作品にインスピレーションを受けたクッションの塔や、本を直接折り紙の要領で折っていくブック・スカルプチャーなどの作品を見ることができます。「Gris haut-de forme」で見ることができる自由な発想の作品とは対照的に、ここで見られる作品は同じ作業の繰り返しと積み重ねで作られたものが多く、全体的に何となくフォーマルな印象を受けるものの、どれも完成度が高かった事に驚かされました。


文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of Les Impatients
ギャラリー:Les Impatients
所在地:100, rue Sherbrooke Est, bureau 4000
スケジュール:火〜金:10時〜17時 土〜日:13時〜17時
メトロ:Sherbrooke
電 話:514-844-2033
ウェブサイト:HP
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