David Spriggs, Stratachrome, 2010
David Spriggs, Stratachrome, 2010
David Spriggs, Stratachrome, 2010
 夏が駆け足で過ぎ去り、芸術の秋の訪れを知らせるように街路樹も色づき始めたモントリオール。今回のギャラリーリポートは、新学期が始まったばかりのL'Université du Québec à Montréal内にある、La Galerie de l'UQAMからお届けします。

 ご存知の方も多いと思いますが、今回訪れたLa Galerie de l'UQAMはモントリオール市内に7つある大学の一つ、L'Université du Québec à Montréal(通称:UQAM) 校内にある現代アートギャラリーです。展示室は大小2つあるものの、美術の学科が有る大学の一角に設けられているからと言って、決して生徒の作品だけを展示しているのではなく、小さい方の展示室は生徒の作品展示を主に、そしてメインの展示室はプロのキュレーターやギャラリー自らが招いた国内外の作家の展示に力を入れているのが特徴です。

 さて、展示の方ですが、イギリス出身で現在はモントリオールに拠点を置く新鋭作家、David Spriggsによる「Stratachrome」と言う彫刻作品を観る事が出来ます。この作品は、ギャラリーが新しく手がけるレジデンスプログラムを通して制作されたもので、実際にこの夏の間、「Stratachrome」の展示に使われている展示室自体をアトリエとして使って制作が行われていたそうです。つまりこの展示は、レジデンスの成果発表の役目も兼ねているとのことです。

ー緑の深海ー
薄暗い展示室に一歩足を踏み入れると目に飛び込んでくるのは、室内中央に流動的なフォルムを描きながら緑色の怪しい光につつまれる雄大なスケールのインスタレーションです。縦約7.6m x 横3.6mの透明なポリエステルフィルム合計400枚からなるこの作品。抽象的なドローイングが施されたフィルムの一枚一枚を一定の間隔をおいて並べて層にし、さらに光の当て方の工夫によって、3次元的な立体感を創っていくといった趣向です。遠くから観た時、その大きさ故に何か堅固な印象を受けたのですが、実際に近くに寄ってみると、フィルムの薄さや描かれた線のタッチの繊細さに驚かされました。そして、テーマカラーの「緑」もプラスされて、ホログラムに似た感じも覚えますが、描かれた線やカスミのようなボカシが絶妙に重なり合い、深海をも彷彿とさせる、とても幻想的かつ神秘的な作品だと思いました。

 ギャラリーの入り口を入って直ぐの小さい方の展示室には目出たく卒業してゆく大学院生のビデオ作品も展示しているので、興味のある方は是非こちらも楽しんで下さい。

 なお、このLa Galerie de l'UQAMでは毎週水曜日に、作品に対する色々な質問に応えたり、現代アートの理解をより深めたい人向けのMidi art contemporainという催しもあるので、ただ作品を観るだけでなく、プロの意見を聞いたり、他の人たちと意見や見解を分かち合いたい方にお勧めします。

文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtesy of La Galerie de l'UQAM
ギャラリー:La Galerie de l'UQAM
所在地:Pavillon Judith-Jasmin, local J-R120, 1400 rue Berri
スケジュール:火〜土:12時〜18時
メトロ:Berri-UQAM
電 話:514-987-6150
ウェブサイト:www.galerie.uqam.ca
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