今月のギャラリーリポートはQuartier éphémère - Fonderie Darling Foundry - Centre d'arts visuels / Visual Arts Centreからお送りします。

 このセンターの創設者の一人であるCaroline Andrieuxさんを以前「PEOPLE46」でご紹介した事があすが、覚えていますか?残念ながら記憶に無い方や初めてPEOPLEをご覧になる方もいらしゃると思うので、ここで簡単におさらいしておきます。

 Quartier éphémère - Fonderie Darling Foundry - Centre d'arts visuels / Visual Arts Centreはモントリオール旧市街の外れにあるレンガ作りの旧鋳物工場を改装してつくられました。室内展示室での展示やコンサートの他、隣接されたアトリエには海外から作家を招くジデンスプログラムも充実してる市内随一の国際的なアートセンターです。

 さて、今回焦点を当てたのは、6月17日にオープンした、オタワ通りを東から西へ向かって展開されている「Fugue urbaine」という、野外でのグループ展。近年、目覚ましく進んでいるグローバル化や都市開発への問題提起、そしてグリフィンタウン(モントリオールのダウンタウン南西部の旧称)の再開発問題などをテーマにしています。私が訪れた日はあいにく雷雨があったり小雨が降ったりと、野外での展示を見るにはもってこいの日ではなかったものの、センターの計らいで特別にこの展示を企画したキュレーターのEsther Bourdagesさんの案内で展示をまわってみましたので、幾つか作品をご紹介したいと思います。

Virginie Laganière & Jean-Maxime Dufresneによる「Phantom ride
Carlos Contenteのポスター(剥がされる前の様子)
Antoine Nessiによる「Rature
Brandon LaBelleによる「The Accident」(*手前の看板風な作品は、別の企画で設置されたRon Teradaの「See Other Side of Sign」)
Luis Jacobの「Tableaux Vivants」の様子
Luis Jacobの「Tableaux Vivants」の様子
[ロスト・ハイウェイ…?]
まずはギャラリー入り口の外に斜めに横付けされた80年代風のアメリカ車が観客を迎えてくれます。これは地元モントリオールの作家デュオVirginie LaganièreとJean-Maxime Dufresneによる「Phantom Ride」と言う作品。この車は何処に向かっているのか?あの方角に一体何があると言うのか?… そんな疑問を頭によぎらせながら、足下に敷かれた赤の絨毯を辿ってこの車の中に入ってみると、車内はフロントシートが外され床には赤の絨毯が敷かれて残されたバックシートにゆったりと足を伸ばして二人がけするように改装されています。この密室に設置された二つの古いスピーカーからは約11分間にわたり、様々な抽象的な音やちょっと聞き取りにくい機械的な音声が繰り返し流れてきます。(注:この機械的音声についてEstherさんに尋ねてみた所、これはオーディオ翻訳プログラムの様なものを使ったためである事が分かりました)音声をよく聞いてみると、ビルの落書きや、来年、取り壊しが決まっているボナヴェンチャー・エクスプレスウェイに関する内容でした。外に停められた車の中で、しかも雷雨が降りしきる中での鑑賞と言う事もありましたが、ギャラリーの中では味わう事の出来ない、未来へのそこはかとない不安や緊迫感をこの作品に感じ取ることが出来ました。

[高架橋下にポスター貼っちゃ駄目ですか?]
ボナヴェンチャー・エクスプレスウェイを渡ってオタワ通りを西に進んで行くと、ブラジル出身の作家Carlos Contenteの作品群。高架橋下に20枚近く貼られたポスター(と言うよりは、マジックで書いたドローイングと言った印象が強い)を観れるはず…だったらしいのですが、残念ながら私が訪れた時点で残っていたポスターはたったの1枚。そこらへんの事情をEstherさんに聞いてみた所、この一枚以外は強風や誰か快く思っていない人に剥がされてしまったらしいとの事。悲しいかな、こう言う出来事は野外展示ではつきものと言うか?何も知らない通りがかりの人が、作品と落書きとの区別ができずに取り外したのかも?!そのかわり、センターに隣接されているCluny Artbar側の外壁に、カラフルでグラフィックな壁画作品をみることができたのでちょっと安心しました。

[空き地では…]
高架橋の下を通って直ぐに旧ガス会社だったレンガ作りのビルに辿りつきます。このビルの屋根に近い外壁の部分には、フランス人作家Antoine Nessiによる「Rature」と言う、訂正線を型どった落書きのようなライトボックス作品が設置されているのが見えたのですが、残念ながらこの日のツアーは未だ陽が陰っていたので、光っている所を観る事は出来ませんでした。そして、この作品の下に広がる荒涼とした空き地/駐車場には、4つの黒い大きなカーバーがかかったスピーカらしき黒い物体が設置されていました。遠巻きには工事の音や街の喧騒に書き消されて良く聞こえなかたのですが、近くに寄ってみると男性達の対話する声が聞こえてきました。これはドイツ在住のアメリカ人作家Brandon LaBelleによる「The Accident」言う作品。モントリオールの都市開発に対する懸念や抵抗などを、4人の登場人物による約30分の詩的オーディオ劇として作品化したもので、静かに劇を聞いていると、周りの騒音が作品の一部となって作品に一層厚みを加えるように感じられた反面、工事などの騒音が一段落する日没に、4人の男性の声が不気味に響く空き地に一人でぽつんとたたずみながら作品を聞いてみても違った体験が出来て面白いのではないかと思いました。

このほか、オタワ通りとデューク通りの交差点には、地元作家Philippe Côtéの真ん中に四角い穴の開いた白いドアからボナヴェンチャー・エクスプレスウェイを覗く小さなインスタレーションがあるほか、センター内の2つの展示室では、トロント出身の作家Luis Jacobの「Tableaux Vivants」という写真や絵画などの展示を観ることができますので、モントリオール旧市街にご来訪の際には是非、これらの作品鑑賞を楽しんで行かれる事をお勧めします。

文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Guy L'Heureux
ギャラリー:Fonderie Darling Foundry / Quartier Éphémère
所在地:745, Rue Ottawa, Montreal
スケジュール:水〜日:12時〜19時 木:12時〜22時 月・火:休館
メトロ:Square Victoria(徒歩7分)
電 話:514-392-1554
ウェブサイト:www.quartierephemere.org
当ホームページ内の画像・文章等の無断使用、無断転載を禁じます。すべての著作権はFROM MONTREAL.COMに帰属します。情報の提供、ご意見、お問い合わせは「左メニューのCONTACT」よりお願いします。
Copyright (c) 1996-2010 FROM-MONTREAL.COM All Rights Reserved