(c)Sorel Cohen
(c)Sorel Cohen
(c)Sorel Cohen
 今回足を運んだのは、ダウンタウンのL'édifice Belgo5階にあるGalerie Donald Browne。2006年に出来た比較的新しいプライベートギャラリーで、ベテランや若手を問わずケベックを拠点に活動している現代アーティストをカナダ国内でプロモートすることに重点を置き、絵画、写真、インスタレーションなどの作品展示に常時力を入れています。

 現在、展示されているのはギャラリーの専属アーティストで地元モントリオール出身のSorel Cohenによる「Lacrimosa」(ラテン語で「嘆き悲しむ」の意)と言う「ハンカチ」を素材にした写真12枚からなるシリーズ。これは2008年の「Divans Dolorosa」と題され、心理士のオフィスに有るソファーを題材にした写真シリーズの続編とのこと(この作品はギャラリーホームページでも紹介されているので、興味のある方は是非ご参照下さい)。この作品は前シリーズと同様に、壁に並べられた写真全てが額装されおり、そのガラス部分には、一見無造作に置かれたそれぞれの白いハンカチに滲む涙の理由がCohenの想像によって引き出され、文章として彫り込まれています。面白いことに、この彫り込まれた文字の色自体は無色なので、室内の照明が彫り込んだ溝に当たって、額の中の台紙に影を落とし文章が始めて現れるという、なんとも繊細な趣向となっています。そして、並べられた作品を見ていくと解るのですが、全ての写真が同じシンプルな灰色を背景にして撮られており、この灰色とガラスに刻まれた文章が見事に調和して、観る者が知らず知らずのうちに哀愁漂う世界に引き込まれて行きます。

 余談ですが、この使われた12枚のハンカチのうち、11枚は、友人から借りたり、インターネット・オークションで購入したもので、残りの1枚は作者自身の物とのこと。しかし、ギャラリー側もそれがどれだかは知らされておらず、作家のハンカチが吸った涙の理由は明かされぬまま、ちょっと謎めいた作品に仕上がっています。

 普段、個人的にクドい印象を与える類型学的な作品へのアプローチが苦手なのですが、この作品に関しては、いつもの苦手意識も彫り込めれた文章のおかげか、決して飽きない、もっと深い何かが秘められた作品に感じられました。たかがハンカチ、されどハンカチ‥完成度の高さに脱帽でした。

文/Text畑山理沙Risa Hatayama
Photo: Courtecy of Galerie Donald Browne
ギャラリー:Galerie Donald Browne
所在地:372 rue Ste-Catherine Ouest, ch. 528
スケジュール:水〜土:12時〜17時
メトロ:Place-des-Arts
電 話:514-380-3221
ウェブサイト:www.galeriedonaldbrowne.com
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