アーティスト:日向野浩司(ひがのこうじ)

プロローグ

 子供の頃から絵を描くのが好きだった自分は、中学校の絵のコンクールで入賞したのをきっかけにアートの世界へ進む事を決心。高校でビジュアル・アーツを専攻し、卒業後は某自動車会社でクレイモデラーとして2年、CADデザイナーとして5年、計7年間働く。

旅立ち

 高校卒業後、直ぐに社会に出た為、精神的にゆとりが無い事に気づき、視野を広げたいと思いワーホリでカナダへ。

感動

 バンクーバーに到着した自分は、日系の会社でアルバイトして貯めたお金でアクリル絵の具を買い、路上で絵を売ろうと描き始めた。そんな時、スノーボーダーのグループからボードに貼るステッカーや帽子のロゴ・デザインを頼まれ、引き受けた。すると、他のスノーボーダーや他の国の旅行客にも口コミで広がったらしく「もっとないの?ステッカー売ってよ!」と声をかけられた。この時『自分で作った物を売ってお金を貰う』という作業が自分には凄く新鮮に思えた。なぜなら、車のデザインをしていた頃は10人のチームで1台の車を3年間掛けて制作し、市場に出しても自分が売ったという実感がなかったからだ。

チャンス

 バンクーバーに到着して以来描き続けてきた絵を、路上で売らずに『誰かに作品を見てもらいたい!』と思った。お店やカフェなど何十件も回ったあげく『バージンメガストアのカフェに展示できたら...』と体当たりで作品を見せた。交渉してみると、運良くマネージャーがアートに興味を持っていた人でOKが出た。作品15点を約2ヶ月間展示させてもらい、その時置いていたメモにもたくさんの人から励ましのフィードバックをもらうことができ、自分に自信が持てた。

東へ

 最初から「東へ東へ」と旅するプランを立てていたので、モントリオールへと旅立った。ここはカナダの中でもアートに関心の高い所だと聞いていたので、前から訪れてみたかった所だった。それと、バンクーバーのバージンメガストアのマネージャーに「ニューヨークのバージンでも展示できるかもよ!」と言ってくれたこともあり、ここならNYへのアクセスも便利だった。

迷い

 安いアパートだったが、自分のゆったりとした時間と空間を得るのは久しぶりだった。NYのバージンメガストアにメールでコンタクトしてみるが、なかなか返事がもらえない。電話してもはっきりとした回答がもらえないまま時間が過ぎていった。そんな時、お店やカフェを何十件と回ったバンクーバーでの自分を思い出した。『こうなったら、もう一度体当たりしてみよう!』と、展示できるかどうかも分からないまま、全ての作品を持ってNYへ旅立った。

幸運

 NYのバージンメガストアにも気に入ってもらい、20点を展示することができた。バンクーバー同様、たくさんの人から励ましのフィードバックをもらう事ができ、中には日本語の文章もあり、勇気づけられた。バンクーバーと違う点は、「売って欲しい」と声を掛けられる事が非常に多かった点だと思う。これから先の予定は、ビザが残っている間は、モントリオールのギャラリーで展示できないか回ってみようと思う。それから、また「東へ東へ」と自分の作品を持って、ヨーロッパへ...

最後に

 カナダに来て特に勉強した事は、「やるかやらないか、迷っているのであれば、やってみる!」ということ。








作品・文:ひがのこうじ

日向野浩司さんへのご意見やご感想はこちらからお寄せください。
from-montreal.comではアーティストコーナーの原稿を募集しています。詳細はこちら
当ホームページ内の画像・文章等の無断使用、無断転載を禁じます。すべての著作権はFROM MONTREAL.COMに帰属します。情報の提供、ご意見、お問い合わせは「左メニューのCONTACT」よりお願いします。
Copyright (c) 1996-2007 FROM-MONTREAL.COM All Rights Reserved