12月。師走。年の瀬も押し迫り、新年を迎える準備に、普段から忙しい人もそうでない人も、全ての人が慌しく過ごしていく時期に入ってしまった。でも、たまにはのんびりリラックスする時間も必要だし、クリスマスのイルミネーションで華やぐ街並みを散歩しながら、ロマンティックなひとときを大切な人と分かち合うのもいいかもしれない。そこで2回目の今回は、日本よりもはるかにお手頃金額で、優雅に時間を過ごせる芸術鑑賞にスポットをあたってみることにしよう。

モントリオールの芸術の中心的存在と言えばもちろん、Place Des Arts。[写真左]初夏に行われるモントリオール・ジャズ・フェスティバルの開催地としても有名なこの複合劇場館は、ダウンタウン内にあり、メトロにも直結していて何かと立地条件が良いので、通年有名アーティストの世界ツアーの巡業地として(ちなみに今年はバイオリニストの五嶋みどりや、N.Y.のブロードウェイ・ミュージカル「Chicago」が来ていた)よく利用されているが、もちろんここを本拠地にして活躍している地元アーティスト達も豪華な顔ぶれだ。

まず一押しは、モントリオール・シンフォニー・オーケストラ(OSM)。OSMの歴史は1934年に遡る。翌年の1月14日にはラ・フォンテン・パーク近くにあったPlateau Hallで最初のコンサートを行なった。現在は、毎年9月下旬から翌年の6月上旬までのオケシーズン中、Place Des Arts内の大ホール、Salle Wilfrid-Pelletierを活動の中心の場にしている。現・音楽監督Charles Dutoitは近年NHK交響楽団の指揮、並びに音楽監督も兼任しているので、クラシックファンならお馴染みの方も多いはず。以前から客演指揮としてOSMに携っていた彼だが、正式に6代目の音楽監督になったのは1977年から。彼は意欲的に活動の場を広げ、37回の世界ツアー(うち日本は6回)に80本以上ものレコーディング、今では夏の風物詩になりつつある、ノートルダム聖堂でのクラシック・コンサートも彼が就任してからである。国内外を問わず今までに40個以上もの賞を獲得し、名実と共に世界屈指のオーケストラであることは疑いない。チケットの値段はと言うと、大人16$〜と大変お買い得。20人以上の団体割引も有り、学生だとコンサート当日にチケットを買うと、$10で1階席が取れたりすることもある。さらに日曜日にコンサートが行われる場合には、「Musical Sundays」と称して、Salle Wilfrid-Pelletierの隣にある、La Rontondeというレストランが、OSMの当日チケット提示で食事代が15%引きになる特典もある。

1981年に発足ということで歴史は浅いけれど、サービス精神旺盛で活気があるのがメトロポリタン・オーケストラ(OM)[写真左]。こちらはモントリオール生まれの若手指揮者、Yannick Nezet-Seguinが2000年に音楽監督として就任している。彼はOSMでも1999年に2回客演指揮を経験し、同年、グランド・バレエ・カナディエンズによるチャイコフスキーの「くるみ割り人形」公演の際(今年は12月14日〜30日まで。月・火休。Sall Wilfrid-Pelletierにて。チケットは$19.01〜$69。)でも指揮を担当していた。OMのコンサートは夏だとモントリオール内の様々な公園で無料の野外ステージを楽しませてくれるが、冬はPlace Des Arts内のTheatre Maisonneuveで公演がある。チケットの値段は演目によって変わる。

余談だが、Place Des Arts内にある、チケットカウンターで当日、それも公演1時間〜1時間半くらい前の差し迫った時間にチケットを買う場合、売り場近くのインフォメーションセンター周辺でその日の公演チケットを余分に手元に持っているお客さんに声をかけられることがある。多くは彼らの連れの方が急に都合で来れなくなってしまって途方にくれている人達で、ダフ屋と違って料金も安くで譲ってくれたりするので、直接売り場に向かう前に、こちらを利用するのも手。

Sherbooke通りにある、Salle de concert Pollack[写真左]は、主にマギル大学の学生達の活動の場となっているようだが、ほぼ毎日何かしらのコンサートを行なっている。その多くは入場無料。チケットが必要な場合も少額でクラシックを堪能することができる。(チケットカウンターはSalle de concert Pollackの入り口右側にある)モントリオール大学でも同様のコンサートが行われている。

どちらかというと耳より目で芸術を楽しみたい方は、モントリオール美術館(Montreal Museum of Fine Art)へどうぞ。特別展は、来年の1月27日までエッチング(版画の一種)によるゴヤの作品群が(並びに彼の画風に影響を受けた画家たちの作品も)展示されている。特別展の入場料は通常大人$12、学生$6だが、水曜日の夜5時半以降(9時閉館)に来場するとこれらの入場料が半額になる。

それでは皆様よいお年を。

取材・文:藤澤 有里花
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